)” の例文
一乗に帰依し三昧に入得につとくするの正きにり御坐しませ、宿福広大にして前業ぜんごふ殊勝に渡らせたまふ御身なれば、一念〻頭の転じたまふを限に弾指たんし転眴てんけんの間も無く
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「は?」彼は覚えず身をかへして、ちようと立てたる鉄鞭にり、こはこれ白日の夢か、空華くうげの形か、正体見んと為れど、酔眼のむなしく張るのみにて、ますまれざるはうたがひなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その立つやこれにり、その動くやこれに基づき、その進むやこれにむかう。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
と、計りに計っていた孔明も、剣にり、壇に歩して昼は必勝の祈祷をなし、夕べは血をそそいで諸将と決死の杯を酌み交わし、夜に入るや手分けを定めて、三軍、林のごとく待ちうけていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)