仏果ぶっか)” の例文
旧字:佛果
槿むくげの花の咲いている竹籬たけがきに沿うて左に曲がると、正面に釈迦堂がある。頼家の仏果ぶっか円満を願うがために、母政子まさこの尼が建立こんりゅうしたものであると云う。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「またも遇はむため」は来世にも亦この仏果ぶっかに逢わんためという意で、やはり力づよいものを持っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「おれはもう、神通力じんずうりきを失ってしまった。その代りに、この通り、仏果ぶっか功力くりきというものを授かった」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真個まことに、ああいう世にまれな美人ほど、早く結縁けちえんいたして仏果ぶっかを得たためし沢山たくさんございますから。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして本尊に、御自身の念持仏ねんじぶつ——胸にまんじの彫ってある阿弥陀如来あみだにょらい像をおさめて——今生の衆生しゅじょう結縁けちえんと、来世の仏果ぶっかのために施与せんというのが、安楽寿院創建の御願ぎょがんとされるところらしい。