今津いまづ)” の例文
滋賀県の今津いまづ近くの村では、少なくとも二十年ほど前まで、この遊びをしたということを、長浜女学校の三田村君がまず知らせてくれた。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
西依にしより成斎は肥後生れの儒者で、京都の望楠書院で鳴らし、摂津の今津いまづへも十年ばかり住むでゐて弟子取でしとりをしてゐたので、京阪かみがたではよく名前が通つてゐる。
始終今津いまづの兄の所、庄造には伯父に当る中島の家へ泊まりに行つて、二日も三日も帰つて来ないやうになつた。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
するとやがて二人の家中かちゅうが上がって来た。侍小頭さむらいこがしら室木むろき斎八と今津いまづ源太夫のふたりだった。官兵衛のすがたをここに見出すと、ふたりとも意外な容子ようすを声にまであらわして告げた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかし今津いまづ米屋与右衛門こめやよゑもんといふ男が居た。富豪かねもちの家に生れたが、学問が好きで色々の書物を貪り読んだ。
福子が午後の四時過ぎに、今津いまづの実家へ行つて来ると云つて出かけてしまふと、それまで奥の縁側で蘭の鉢をいぢくつてゐた庄造は、待ち構へてゐたやうに立ち上つて
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)