彼が平右衛門役者としての素質は、彼自身之を破つて後も、一代彼の仁にある役柄と言ふべきものになつた。
「兄よ暑いなあ」の棄てぜりふめいた文句も、やつぱり仁にはまらなくては意味のないものだとわかつた。蛙見得が、蟹見得と改称しさうなのも、気の毒だつた。
第一、辛抱立役の人形屋幸右衛門などは、正に彼が開拓して行くべきものであつた。立敵の東間は、恐らく意外の好評を博しさうな気がする。阪田庄三郎なども彼には仁にある役である。
仁も、芸も、性格も、素直で、器量の飛び抜けて整つた——、さうして常に、先輩には一目さがりの礼譲を持し続けてあせらず、人を凌がうとせぬ政治郎福助を、女房役として為立てゝ行くことは
“仁”の意味
《名詞》
(ジン)儒教における最も基本的かつ重要な徳目。打算など無く、自然に相手を人として尊重すること。
人の意。御仁、朴念仁。
(ジン)梅や胡桃の種の固い殻の中にある柔らかい実。
(ジン)《生物学》核小体の別名。
(出典:Wiktionary)
(出典:Wiktionary)
“仁”の解説
仁(じん)とは、中国思想における徳の一つ。仁愛。特に、儒家によって強調されており、孔子がその中心に据えた倫理規定で、人間関係の基本。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)