仁体じんてい)” の例文
旧字:仁體
殊勝な、優しい、最愛いとしい人だ。これなら世話をしても仔細しさいあんめえ。第一、あの色白な仁体じんていじゃ…………仁右衛門よ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
石川良右衛門は苗字帯刀みょうじたいとうを許された大町人で、五十前後の立派な仁体じんてい、これは武家の出だということで、進退動作なんとなく節度にかなっております。
「おい、」と心安げに答えたのは和尚天窓おしょうあたまで、背広を着た柔和な仁体じんてい、篠塚なにがしという哲学家。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
相手は町内でも人に立てられる三好屋みよしやの隠居、十徳まがいの被布ひふかなんか着て、雑俳ざっぱいに凝っていようという仁体じんていですが、話が不意だったので、平次はツイ梅干を連想せずにはいられなかったのです。
六十年配の穏やかな仁体じんていです。