人道じんだう)” の例文
その下の人道じんだうを胸のあたりに真鍮の徽章を附けた善男善女の団体が坊さんにれられて幾組も練つて歩き、電車も皆その団体で一杯に成つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
……その風かをる橋のうへ、ゆきつ、もどりつ、人波ひとなみのなかに交つて見てゐると、撫子なでしこの花、薔薇ばらはな欄干らんかんに溢れ、人道じんだうのそとまで、瀧と溢れ出る。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
更に隙を縫うてむかひの人道じんだうへ駆けのぼり又ほつと一息つく気持はは云へ痛快だ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
グラン・ブルヷアルを初め、目ぼしい大通おほどほりを歩いて人道じんだうから人道じんだうへ越すときの危険あぶなさ。地方から東京へ初めて出た人が須田町の踏切でうろうろするのは巴里パリイに比べると余程よほど呑気のんきである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)