二家にか)” の例文
この年七月二十日に山崎美成やまざきよししげが歿した。抽斎は美成と甚だ親しかったのではあるまい。しかし二家にか書庫の蔵する所は、たがいだし借すことをおしまなかったらしい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
茝庭は抽斎の最も親しい友の一人ひとりで、二家にかの往来は頻繁ひんぱんであった。しかし当時法印の位ははなはとうといもので、茝庭が渋江の家に来ると、茶は台のありふたのある茶碗にぎ、菓子は高坏たかつきに盛って出した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)