乗合バス)” の例文
旧字:乘合
山陰地方の乗合バス会社に身を潜めたが、二千円の金をつかい果すと大胆にも、昨、昭和八年の夏、又もや東京へ舞い戻って来て、小梅に同棲し
衝突心理 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その大野木まで行けば、小浜行きの乗合バスが出るということですし……仕方がない、草臥くたびれてもひもじくても、大野木まで行くほかはないのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
お求めになった十倍の値段で私にお譲り下さいませんか……二十倍でも……百倍でもと追いすがる様に言いましたが、その内に乗合バスは動き出します。
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
花の寺は西行法師にちなみのある古いお寺で、向う町から乗合バスでゆけますが、何しろ、寺の手前二十町のところまでしかゆきませんから、道をおっくうに思う人には少々難儀ですけれども
女の話・花の話 (新字新仮名) / 上村松園(著)
乗合バスは満員だつた。軽井沢から沓掛くつかけの駅へ出ると、道はぐんぐん登りになる。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
いよいよ大野木の乗合バスの乗り場に着いてから小浜まで三里、麦畑と切り断ったような断崖だんがいの間を、乗合バスは走っているのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
丁度ちょうどやって来た乗合バスへ飛乗ると、後ろから、——それを持っていらっしゃると、決していい事はありません
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そして、スパセニアの姿が見えぬと思ったら、馬術の名手といわれる彼女は今馬をあおって、動き出した乗合バスの後からまっしぐらに、追って来るところです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
乗合バスを待って居ると、いきなり後から、——モシモシ、先刻さっきお求めになった、青いガラス玉、あれをわたしに譲っては下さいませんか——こう呼びかける人があります。
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)