中津川なかつがわ)” の例文
また、あの日本武尊のご一行が越後を出た吉備武彦に会いたもうたのは、今の湯舟沢ゆぶねさわから、中津川なかつがわ、あるいは大井あたりまでの間かとも申します。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
政吉 何をいやがる高山の御用聞きは、とうの昔に横に切れて、木曾の中津川なかつがわして飛んで行った。おなかさんお前も見て知ってるじゃあねえか。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
アヽ是を見ればこそ浮世話も思いの種となって寝られざれ、明日は馬籠峠まごめとうげ越えて中津川なかつがわまで行かんとするに、く休まではかなわじと行燈あんどん吹き消しを静むるに、又してもその美形
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
中津川なかつがわの商人は奥筋おくすじ三留野みどの上松あげまつ、福島から奈良井ならい辺までをさす)への諸勘定かんじょうを兼ねて、ぽつぽつ隣の国から登って来る。伊那いなの谷の方からは飯田いいだの在のものが祭礼の衣裳いしょうなぞを借りにやって来る。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「あの山の向こうが中津川なかつがわだよ。美濃はよい国だねえ。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)