不貞腐ふてくされ)” の例文
しかし何事も辛抱がまんで、女の「不貞腐ふてくされ」をさへ辛抱がまんする勇気のある男が、女の「親切」が辛抱がまん出来ないといふ法は無い筈だ。
信一郎は、夫人の言葉を聴いてゐる中に、それを夫人の捨鉢な不貞腐ふてくされの言葉ばかりだとは、聞きながされなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
女の身体からだはまるで男のものになって、何をいわれてもはいはいッて、従わないと、イヤ、不貞腐ふてくされだの、女の道を知らないのと、世間でいろんなことをいうよ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天は不幸なるこの重右衛門にこのわづかなる恩恵めぐみをすら惜んで与へなかつたので、尋常よりもなほ数等愚劣なるかれの妻は、この危機に際して、あらう事か、不貞腐ふてくされにも、夫の留守を幸ひに
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
信一郎は、夫人の言葉を聴いている中に、それを夫人の捨鉢な不貞腐ふてくされの言葉ばかりだとは、聞きながされなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「やい、不貞腐ふてくされ。」と車夫の吉造、不意に飛込んで、婦人おんなたぶさ鷲掴わしづかみにしてぐいと引けば、顔をしかめて、「あいつ、つつつつつ」とこぶしに手を懸け、「無体な、何をするんだねえ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)