不埒千万ふらちせんばん)” の例文
嗚呼、かる有様では、最早永久に早慶試合の復活は絶望と見るの他はあるまい。嘆又嘆たんまたゝん!学生界の為に此様こん不埒千万ふらちせんばんな事はない。
むかしはトウビョウつきを政府へ呼び出だし、裁判所にて、「その方は畜生の分際として人につくなどは不埒千万ふらちせんばんである。早く出て行け」
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「つまり、いたずら者の本家本元は薩摩だ、薩摩というやつは実に不埒千万ふらちせんばんなやつだ、その薩摩を取って押えて、ふかしたり、焼いたりしてしまいたいものだ」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それには判事が犬主をんで、回教の信弟子に限った葬礼を不浄極まる犬に施すは不埒千万ふらちせんばんだ、七睡人の犬もオザイルの驢もかつてかかる栄遇をけたと聞かぬと叱ると
悪い心持のする景色ではあるまい。誰だって高慢税は出したかろうではないか。自分も高慢税は沢山出したい。が、不埒千万ふらちせんばん、人生五十年過ぎてもまだ滞納とはしからぬものだ。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「今日はどうだったい。由雄さんが何とか云やしなかったかね。おおかたぐずぐず云ったんだろう。おれが病気で寝ているのに貴様一人芝居しばやへ行くなんて不埒千万ふらちせんばんだとか何とか。え? きっとそうだろう」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とり持つなんて、不埒千万ふらちせんばん
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
背負しょい込んで来て、それでなにくわんかおをして口を拭っているところなんぞは不埒千万ふらちせんばんだ、なあ、福
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「君を掠奪して、こんなところへ連れ込んだ不埒千万ふらちせんばんな奴じゃないか」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)