不品行ふみもち)” の例文
何故なぜ息子の返事を聞いて泣き出したか解る筈もないが、察する所、自分が若い頃の不品行ふみもちに比べて、息子の純潔なのについ知らず感激させられたものらしい。
姉さんがどうにかしておくれなら、それを言ぐさにして、不品行ふみもちだからって、その養子を出してやろう。そんな奴だけれど、ただ、疎匇そそうがあるの、不遇ぶあしらいをするのッて、お雪さんをいじめるばかり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やっぱしこの不品行ふみもちな夫人さ、俺と夫人との関係が知れると、あの悪党、ここにいるこの運転手に云いつけて、夜、俺が早稲田の先輩の家から帰るのを待ってて、石切橋いしきりばしの傍で轢殺しきころしたものだ
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)