下萌したも)” の例文
と、襟の扇子をと抜いて、すらすらと座へ立った。江戸は紫、京はべに、雪の狩衣けながら、下萌したもゆる血の、うら若草、萌黄もえぎ難波なにわの色である。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その下萌したもえの片笑靨かたえくぼのわずかに見えたる、情を含む眼のさりとも知らず動きたる、たおやかなる風采ものごしのさらに見過ごしがてなる、ああ、辰弥はしばし動き得ず。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
下萌したもえぬ人間それに従ひぬ 立子たつこ
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
下萌したもゆる心をめて書く手紙
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)