下司女げすおんな)” の例文
さりとて、妬みがましい下司女げすおんなと見積られるのも悲しいので、彼女は主人にむかって打付けにしつこく詮議する訳にも行かなかった。
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
けだしハシタモノすなわち下司女げすおんなは下品であるということから、かくいろいろにその語が用いられる様になったのであろう。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
いつもかまどのはいすみこなにまみれたみにくい下司女げすおんなではなくって、もう天人てんにん天下あまくだったかとおもうように気高けだかい、十五、六のうつくしいおひめさまでした。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あなたがどなたさまにもしろ、また、どんなことをしてあの下司女げすおんなの悪魔めがあなたをこの邸内へ誘い込んだにもしろ、どうぞここで起こった出来事を誰にもおっしゃらないでください。
下司女げすおんなをハシタ・ハシタモノと呼ぶに対して、下司男げすおとこをチュウゲンと呼んだ例も古い。古今著聞集に
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
毎日まいにちおふろのをたいてばかりおりました下司女げすおんなに、どうしてうたなんぞがめましょう。」
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
下司女げすおんなすなわち召使女の称呼となったものであるに相違ない。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)