下加茂しもがも)” の例文
ういういしい花嫁ぎみの行く道には、祝いの花がまかれないで、のろいの手がひろげられていたのか、京都下加茂しもがもの北小路家へ迎えられるとほどもなく、男の子一人を産んで帰った。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
君の祭見る日の下加茂しもがもの橋はつまらずと申し、大井川濃きの帯のいくたりの鼓拍子に船は離れぬは、かしこの景色すきなるものから、それはよしと喜びていくたびも口ずさみ候。
ひらきぶみ (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
下加茂しもがも撮影所のスターとして光っていた園村春子、四條の菊水の女王と歌われていたお澄という女給、下宿の評判娘など、村川は若い女性から幾度手紙をもらったかわからなかった。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
これも進んで須磨へ行く一人になっているのであるが、この男が下加茂しもがもやしろがはるかに見渡される所へ来ると、ふと昔が目に浮かんで来て、馬から飛びおりるとすぐに源氏の馬の口を取って歌った。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)