上向うわむ)” の例文
そして花は上向うわむきに咲くものもあれば、横向きに咲くものもあり、また下向きに咲くものもあって、みな小梗しょうこうを有している。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
目をすずのように大きく張って、親しいびの色を浮かべながら、黙ったままで軽くうなずこうと、少し肩と顔とをそっちにひねって、心持ち上向うわむきかげんになった時
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そしてゴロリと上向うわむきになると、ビクビクと宙に藻掻もがいていた六本の脚が、パンタグラフのような恰好かっこうになったまま動かなくなってしまった。私はほっと溜息をついた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
両手をヒョイと出し、上向うわむけにしてあおいだのは、よこせよこせという催促である。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そういって春木は、再び老人を抱きおこして、上向うわむきにした。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)