上使じょうし)” の例文
そのある人から床の間の講釈を聞いて、あれは上段のの変化したもので、上使じょうしが坐わる所だと悟って以来決して床の間へは寄りつかない男である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
和蘭陀風オランダふうの遠近法はこの時既に浮世絵に応用せられ天井とふすまの遠くなるに従ひて狭く小さく一点に集り行くさま、今日こんにち吾人が劇場にて弁慶べんけい上使じょうしまたは妹脊山いもせやまやかた書割かきわりを見るに似たり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それから七日目の二十二日に、大目付石河土佐守が、上使じょうしに立った。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)