三鞭シャンパン)” の例文
彼はまたブラッセル産切子きりこ細工の硝子ガラスの指輪を三鞭シャンパングラスのなかへ落してそれが表面に浮いてるように見せる不思議な妖術をも心得ていた。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
一本はボルドウの白葡萄酒ぶどうしゅ、他の一本は無論男のために用意せられたものですが、三鞭シャンパン酒などではなく、何とも知れぬ不思議な味の酒でした。
覆面の舞踏者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
さて、盛饗はとわたり済んで、乾杯の三鞭シャンパンが注がれ、熱いコーヒーが配られました。主人熊谷三郎兵衛は、拍手に迎えられて自席に立ち上ると、咳一咳
笑う悪魔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
第三の世界は燦として春の如くうごいてゐる。電燈がある。銀匙ぎんさじがある。歓声がある。笑語しょうごがある。泡立あはだ三鞭シャンパンさかづきがある。さうして凡てのうへかんむりとして美くしい女性がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
或る時チョコレートの菓子が食いたくなったから、下女に有るかいと聞いて見ると、すぐもしもしで取り寄せてくれた。のみならず満鉄公所へ御馳走を受けに行けば、三鞭シャンパンが現れる。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
洒落しゃれの片眼鏡に三鞭シャンパンの泡がね、歩道のなかばまでり出した料理店の椅子に各国人種の口が動き、金紋つきの自動車が停まると制服がドアを開け、そこからTAXIDOが夜会服デコルテを助け下ろし