一粲いっさん)” の例文
今左にわざとその「赭鞭一撻」の一字一句も改竄せずに、極めて拙文のままその全篇を掲げて、読者諸君の一粲いっさんに供えてみよう。
従って上記のごときは俳壇の諸家の一粲いっさんを博するにも足りないものであろうが、しかし全然畑違いのディレッタントの放言も時に何かの参考になることもあろうかと思って
俳句の精神 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
本誌に掲載して読者の一粲いっさんを博することにした、何かの御参考ともなればさいわいである。
マル及ムレについて (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
又正岡はそれより前漢詩をっていた。それから一六風か何かの書体を書いていた。其頃僕も詩や漢文を遣っていたので、大に彼の一粲いっさんを博した。僕が彼に知られたのはこれが初めであった。
正岡子規 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何も金将軍の伝説ばかり一粲いっさんに価する次第ではない。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
巻初に記して一粲いっさんに供した俗謡には、二三行
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けだし読者の一粲いっさんを博するに足りるだろう。
私の母 (新字新仮名) / 堺利彦(著)