一村ひとむら)” の例文
私の居たなわてへ入って来たその二人は、紋着もんつきのと、セルのはかまで。……田畝の向うに一村ひとむら藁屋わらやが並んでいる、そこへ捷径ちかみちをする、……先乗さきのりとか云うんでしょう。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
敵は此の一村ひとむらいて隣村に居ります、わずかに八里山を越すと、現に敵が居りながら、女の細腕で討つことが出来ません、先方は浪人者で、わたくしの父はそまをいたして居りましたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
外は今にも降りそうな空の下に、一村ひとむら総出の麦収納むぎしゅうのう此方こちでは鎌の音簌々さくさく彼方あちでは昨日苅ったのを山の様に荷車に積んで行く。時々にぎやかな笑声がひびく。皆欣々として居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
荒壁あらかべ小家こいへ一村ひとむら
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)