一巡ひとめぐ)” の例文
「だいぶんみずあたたかになった。旅行りょこうにはいい時分じぶんである。幾日いくにちかかるかしれないが、このひろ領地りょうち一巡ひとめぐりしてこようとおもう。」
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いや、何様へ何をという、目に見えた話ではねえんだ、わしらは、いつかある時期を見て、日本中を歩いて一巡ひとめぐりして来てえと思ってたでね」
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
縁側からせまい庭へ降りて、生垣いけがき一巡ひとめぐり、平次はいつもの流儀で、れるところ無く四方の情勢を調べるのでした。
「火口を一巡ひとめぐりして、自分がどんな気持になるか、知りたいだけですよ。二万円でそれが判れば、安いもんだ」
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
とは云ったが、まだ幾分の未練が有るらしい、市郎は壁に沿うて室内を一巡ひとめぐりした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
藤吉郎をつれて一巡ひとめぐ逍遥しょうようして来て、座に返るとすぐ
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれがこのいけ一巡ひとめぐりせんでいいものか、かんがえてみるがいい。
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)