一塵いちじん)” の例文
西門の番兵が、あッとなにか呶鳴ったようだが、飛馬のひづめは、一塵いちじんのもとに彼の姿を遠くしてしまった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かく観ぜんと思い詰めたる今頃を、わが乗れる足台はくつがえされて、くびすささうるに一塵いちじんだになし。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
省略に省略を重ねて一塵いちじんをとどめないところにいたることが極意ごくいである。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
そのすずやかな蝉脱のすがたは、歌人としては、随所に楽しむ——という主義のもとに、人生を楽しみあそび、僧としては、浄土を得て、法燈の守りに、一塵いちじんの汚れもとめない生活をしている。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一塵いちじんを見つけし空や秋の晴
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)