一向ひとむき)” の例文
が、女の一向ひとむきになって何かを堪え忍んでいようとするような様子は、いよいよ誰の目にも明らかになるばかりだった。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
私たちはぜひとも今度の後生ごしょうの一大事が助けていただきたいのでございます。皆に代わって私が一向ひとむきにお願い申します。何とぞ往生の道をお教えくださいませ。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
あらをりに見染て箇樣々々かやう/\息子せがれが寢言兩親がことより自己おのれが來りたれどたゞ一向ひとむきにも言入かね實は斯々かく/\はからひて御懇意ごこんいになり此話しを言出したりといと事實じじつを明してのべたるに主個あるじはた横手よこて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そうして一向ひとむきになって何かを堪え忍んでいるような様子が、其頃から女の上には急に目立ち出していた。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
お前には素直な一向ひとむきい素質がある。私はお前を愛している。その素質を大切にしなくてはならない。運命にまっすぐに向かえ。知恵は運命だけがみがき出すのだ。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)