ヶ谷)” の例文
今は王子権現ごんげんの辺、西新井の大師だいし、川崎大師、雑司ぞうしヶ谷等にもあり、亀戸天満宮かめいどてんまんぐう門前に二軒ほど製作せし家ありしが、震災後これもありやなしや不知しらず
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
その時は東山道軍はすでに板橋から四谷新宿よつやしんじゅくへと進み、さらにいちヶ谷の尾州屋敷に移り、あるいは土手を切りくずし、あるいは堤を築き、八、九門の大砲を備えて
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
肩にかついだささの枝には草の穂で作ったふくろうが踊りながらぶら下がって行く。おおかた雑子ぞうしヶ谷へでも行ったのだろう。軒の深い菓物屋くだものやの奥の方に柿ばかりがあかるく見える。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
番所のあるところから野毛山のげやまの下へ出るには、内浦に沿うて岸を一回りせねばならぬ。ほどヶ谷からの道がそこへ続いて来ている。野毛には奉行の屋敷があり、越前えちぜんの陣屋もある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)