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やせおとろ
只見ると、文治は
痩衰えて
鬚ぼう/\、
葬式の
打扮にて、
裃こそ着ませぬが、昔に変らぬ黒の紋付、これは流罪中
上へお取上げになっていた衣類でございます。
今日まで
懕々致候て、唯々
懐き
御方の事のみ
思続け
候ては、みづからの
儚き儚き身の上を
慨き、胸は
愈よ痛み、目は
見苦く
腫起り候て、今日は
昨日より
痩衰へ
申候。
産落したは玉のような男の
児とはいかない、
小児の癖に鼻がいやにツンと高く、眼は細いくせにいやに
斯う大きな眼で、頬肉が落ちまして
瘠衰えた骨と皮ばかりの男の児が生れました。