“そこびえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
底冷92.3%
心痛7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
老人は京の底冷そこびえに、風邪でも引いたかして、泡のやうなみづはなすゝつてゐたが、ふと自分が今通りかゝつてゐるのは、婦人溜所の前だなと気がくと、ひよいとあしをとめてその方へ振向いた。
彼が殊更ことさらに、この薄暗い妾宅をなつかしく思うのは、風鈴ふうりん凉しき夏のゆうべよりも、虫のゆる夜長よりも、かえって底冷そこびえのする曇った冬の日の、どうやら雪にでもなりそうな暮方くれがた近く
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
赤痢病の襲来をかうむつた山間やまなか荒村あれむらの、重い恐怖と心痛そこびえに充ち満ちた、目もあてられぬ、そして、不愉快な状態ありさまは、一度その境を実見したんで無ければ、とても想像も及ぶまい。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)