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しなかばん
かくて妾は爆発物の原料たる薬品
悉皆を磯山の手より受け取り、
支那鞄に入れて普通の手荷物の如くに装い、始終
傍らに置きて、ある時はこれを枕に、
仮寝の夢を
貪りたりしが
山内(
里見氏本姓)から
出ましたが、と
言ふのを、
私が
自分で
取次いで、はゝあ、
此れだな、
白樺を
支那鞄と
間違へたと
言ふ、
名物の
爺さんは、と
頷かれたのが、コツプに
油紙の
蓋をしたのに
大な
支那革鞄を横倒しにして、えいこらさと腰を懸けた。