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かさもりさま
笠森様においでがねえんでこっちへ
廻って
来やした
始末。ちっとも
速く、
葺屋町へ
行っとくンなせえやし
それにつけても
持つべきは
娘だと、
近頃、お
岸が
掌を
合せるのは、
笠森様ではなくておせんであった。
へえ、
笠森様のお
見世では、お
茶を
戴いたことがおますが、
先様は、
何を
知ってではござりますまい。——したが
若衆さん。おせんさんは、もはやお
見えではおますまいかな
「
谷中の
笠守様の手前、木賃宿へ入ったところまで突止めましたよ」