トップ
>
胸毛
>
むなげ
ふりがな文庫
“
胸毛
(
むなげ
)” の例文
山
(
やま
)
を
崩
(
くづ
)
して、
其
(
そ
)
の
峯
(
みね
)
を
余
(
あま
)
した
状
(
さま
)
に、
昔
(
むかし
)
の
城趾
(
しろあと
)
の
天守
(
てんしゆ
)
だけ
残
(
のこ
)
つたのが、
翼
(
つばさ
)
を
拡
(
ひろ
)
げて、
鷲
(
わし
)
が
中空
(
なかぞら
)
に
翔
(
かけ
)
るか、と
雲
(
くも
)
を
破
(
やぶ
)
つて
胸毛
(
むなげ
)
が
白
(
しろ
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
汽車や電車に乗ると、
胸毛
(
むなげ
)
を
曝
(
さ
)
らし
太股
(
ふともも
)
を現すをもって英雄の肌を現すものと心得て、かえってそれを得意とするものがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そこを通り抜けて自分の
部屋
(
へや
)
に来て見ると、
胸毛
(
むなげ
)
をあらわに
襟
(
えり
)
をひろげて、セルの両
袖
(
そで
)
を高々とまくり上げた倉地が、あぐらをかいたまま
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
どんなに眠かつたか、素肌の上に
半纒
(
はんてん
)
一枚羽織つて、
胸毛
(
むなげ
)
と一緒に、掛守りと、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
が、だらしもなくはみ出します。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
巣
(
す
)
の
中
(
なか
)
で、
胸毛
(
むなげ
)
にふかく
頸
(
くび
)
をうづめた
母燕
(
おやつばめ
)
が
眠
(
ねむ
)
るでもなく
目
(
め
)
をつぶつてじつとしてゐると
雛
(
ひな
)
の一つがたづねました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
▼ もっと見る
たとえば「
河馬
(
かば
)
」とか、「
仁王
(
におう
)
」とか、「どぶ
鼠
(
ねずみ
)
」とか、「
胸毛
(
むなげ
)
の六蔵」とか、いったようなのがそうであった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
先刻
(
さっき
)
まで、その
中
(
なか
)
には、ほおの
白
(
しろ
)
い、
胸毛
(
むなげ
)
のくり
色
(
いろ
)
をした、かわいいやまがらがいたのにと
考
(
かんが
)
えると、あんなに
馴
(
な
)
れていながら
逃
(
に
)
げたことが、
夢
(
ゆめ
)
としか
思
(
おも
)
えません。
山へ帰ったやまがら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
オスのハトは、はね毛をふくらまし、頭をまっすぐに立てて、からだをあげたりさげたりするので、そのたびに
胸毛
(
むなげ
)
が枝にさわりました。そして、ひっきりなしに
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
平岡の言葉は
言訳
(
いひわけ
)
と云はんより寧ろ挑
戦
(
せん
)
の調子を帯びてゐる様に
聞
(
き
)
こえた。
襯衣
(
シヤツ
)
も
股引
(
もゝひき
)
も
着
(
つ
)
けずにすぐ
胡坐
(
あぐら
)
をかいた。
襟
(
えり
)
を
正
(
たゞ
)
しく
合
(
あは
)
せないので、
胸毛
(
むなげ
)
が少し
出
(
で
)
ゝゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこでいつものように、フッフッと
息
(
いき
)
をかけて、
紅雀
(
べにすずめ
)
の
胸毛
(
むなげ
)
で上を
軽
(
かる
)
くこすりました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それからまたしばらくするとおしどりたちはくちばしを
胸毛
(
むなげ
)
の中に収めて、
黝
(
あおぐろ
)
い丸い
眼
(
め
)
をおのおのとじた。水の底から老人のふきならす、
妙
(
たえ
)
なる
笛
(
ふえ
)
の
音色
(
ねいろ
)
がひそやかにのぼりはじめたらしい。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
腹毛
(
はらげ
)
胸毛
(
むなげ
)
はものかは、背の真中まで二寸ばかりの真黒な熊毛がもじゃ/\
渦
(
うず
)
まいて居る。余も人並はずれて毛深い方だが、此アイヌに比べては、中々足下にも寄れぬ。
熟々
(
つくづく
)
感嘆して
見惚
(
みと
)
れる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と、
胸毛
(
むなげ
)
をむきだして
腕
(
うで
)
まくりをしなおしたふたりの
道中稼
(
どうちゅうかせ
)
ぎ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鵠
(
こふ
)
の鳥の光明の
胸毛
(
むなげ
)
——その断片。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
ぴつたりとつけた
胸毛
(
むなげ
)
の
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
胸毛
(
むなげ
)
の露をはらひつゝ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
紅
(
あか
)
い
胸毛
(
むなげ
)
のおど/\と
桜さく島:春のかはたれ
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
其處
(
そこ
)
には
山椿
(
やまつばき
)
の
花片
(
はなびら
)
が、
此
(
こ
)
のあたり
水中
(
すゐちう
)
の
岩
(
いは
)
を
飛
(
と
)
び
岩
(
いは
)
を
飛
(
と
)
び、
胸毛
(
むなげ
)
の
黄色
(
きいろ
)
な
鶺鴒
(
せきれい
)
の
雌鳥
(
めんどり
)
が
含
(
ふく
)
みこぼした
口紅
(
くちべに
)
のやうに
浮
(
う
)
く。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
意氣な
單衣
(
ひとへ
)
を七三に端折つて、
懷中
(
ふところ
)
の十手は少しばかり突つ張りますが、夕風に
胸毛
(
むなげ
)
を吹かせた男前は、我ながら路地のドブ板を、橋がかりに見たてたい位のものです。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
水はちょうど
易
(
か
)
え
立
(
た
)
てであった。文鳥は軽い足を水入の真中に
胸毛
(
むなげ
)
まで
浸
(
ひた
)
して、時々は白い
翼
(
つばさ
)
を左右にひろげながら、心持水入の中にしゃがむように腹を
圧
(
お
)
しつけつつ、
総身
(
そうみ
)
の毛を一度に
振
(
ふ
)
っている。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白き
胸毛
(
むなげ
)
の百千鳥。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
碧
(
みどり
)
胸毛
(
むなげ
)
の
垂尾鳥
(
たれをどり
)
。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
「あ、」と離すと、爪を
袖口
(
そでぐち
)
に
縋
(
すが
)
りながら、
胸毛
(
むなげ
)
を
倒
(
さかさ
)
に
仰向
(
あおむ
)
きかゝつた、鸚鵡の翼に、
垂々
(
たらたら
)
と
鮮血
(
からくれない
)
。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
胸毛
(
むなげ
)
の
奥
(
おく
)
迄赤くなつた
胸
(
むね
)
を突き
出
(
だ
)
して、斯う云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あ、」と
離
(
はな
)
すと、
爪
(
つめ
)
を
袖口
(
そでくち
)
に
縋
(
すが
)
りながら、
胸毛
(
むなげ
)
を
倒
(
さかさ
)
に
仰向
(
あをむ
)
きかゝつた、
鸚鵡
(
あうむ
)
の
翼
(
つばさ
)
に、
垂々
(
たら/\
)
と
鮮血
(
からくれなゐ
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
就中
(
なかんづく
)
、ねうちものは、
毛卷
(
けまき
)
におしどりの
羽毛
(
うまう
)
を
加工
(
かこう
)
するが、
河蝉
(
かはせみ
)
の
羽
(
はね
)
は、
職人
(
しよくにん
)
のもつとも
欲
(
ほつ
)
するところ、
特
(
とく
)
に、あの
胸毛
(
むなげ
)
の
火
(
ひ
)
の
燃
(
も
)
ゆる
緋
(
ひ
)
は、
魔
(
ま
)
の
如
(
ごと
)
く
魚
(
うを
)
を
寄
(
よ
)
せる、といつて
價
(
あたひ
)
を
選
(
えら
)
ばないさうである。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“胸毛”の解説
胸毛(むなげ)は首と腹の間、胸に生える毛であり、思春期の後期~二十代頃(個人差あり)に現れ、男性の第二次性徴に属する。
(出典:Wikipedia)
胸
常用漢字
小6
部首:⾁
10画
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
“胸”で始まる語句
胸
胸倉
胸襟
胸算用
胸板
胸騒
胸乳
胸算
胸高
胸中