もん)” の例文
母「はい、お前方もふりい馴染でがんしたけんども、今度が別れになります、はい有難うござえます、多助や誰かわけもんが大勢来たよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに余程よつぽどの気紛れもんでね。稼ぎ出すと鼻唄をやり乍ら滅法稼いでるが、怠け出したら一日主婦おかみに怒鳴られ通しでも平気なもんだ。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「フウム。これは感心した。日本中で鯨の事を本格に知っとるもんなら私一人かと思っておったが、アンタもいくらか知っとるなあ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あのがんこもん親父おやじねば、息子むすこ井戸いどらせてくれるそうだがのオ。だが、ありゃ、もう二、三にちぬからええて。」
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
受付でねられたら、法が附かん。おれたちの家くらいなら、どこからでも入りこんで、逢いたいもんに面会出来るとじゃが、……
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「お叱んなさるも、あれの身の為めだから、いいけれども、只まだ婚嫁前よめいりまえこってすから、あんなもんでもね、あんま身体からだきずの……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「おばあが気ままもんでなあ、団子だんごが腹いっぱい食いたかったり、ままを二杯で辛抱ができなんだりしたんじゃ。おばあは若い時大飯食いでなあ」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
小説書きなんですって、文士って駄目ね、浮気もんが多くって、貴方、文士だったら御免なさい、と答えました。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
「高間さんと云ふと、——ふむ、そんなら、わしとこのもんが度々御厄介になつとる先生ですかな」
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
ちげえねえ、俺ァ辰さんよか年の十も下だンべが、何糞なにくそッ若けもんに負けるもンかってやり出しても、第一いきがつゞかんからナ」と岩畳がんじょうづくりの与右衛門さんが相槌あいづちをうつ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「余のもんがこすったんじゃア、はえがすべってるほどにも感じねえというんで、こちとら真っ赤になってフウフウいって流すんだが、イヤまったくいわみてえなからだだよ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
大下組が街の顔役かおやくとか、親方とかいう一聯いちれんの徒党に対する政府の解散命令をくらってから、組の若いもんから、三下さんしたのちんぴらに至るまですべてが足を洗う様に余儀なくされた。
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
町のもんだから松茸狩りなぞ面白がるだらうと思つて、本人もさう云ふもんだから、しかしわしらはとんと根太は知らんし、折角遠くから來たものを失望させてはと思つたので
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
いまでも、栄養不良のもんは肝油たらいうてやっぱり油飲むやおまへんか。それ考えたら、石油が肺に効くいうたことぐらいは、ちゃんと分りまっしゃないか。なにが迷信や、阿呆らしい
秋深き (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「だって、ほかもんならいけれど、芳さんにばかりは奥様ッて謂われると、何だか他人がましいので、頼母たのもしくなくなるわ。せめて「お貞さん」とでも謂っておくれだと嬉しいけれど。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「能登へ行つたかて、お母さん居らへんし、妾等わてらは京のもんになろえな。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「おめへは何だ? 何処のもんだ? 此様こんな帽子を誰にこせへて貰つた?」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
わしかね。私は大屋のもんですが、ここの登記役場の書記に出ていやすよ。私も海の口へはまだ引越して来たばかりで。これからは何卒どうかまあ君等にも御心易くしてもらわにゃならん——さ、一杯げやしょう」
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「手伝った東京もんに、これをくれてやるべえ。」
月明 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
九州もんな横道もん青竹割つて兵児へこにかく
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
元気もんの腕を見ろ! なあ婆さんや
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
「村の奴などは何とでも勝手に言はせて置くが好い。世の中は広いのだから、何も村に居なければならねえと言ふのでもねえ、男と生れたからにや、東京にでも出て一旗挙げて来る様で無けりや、話にも何にもらねえと言ふもんだ……」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
殊にほかもん媒妁なこうどをするのと違って、此の名主が媒妁をするのだから、礼の一言ひとことも言わしなければならねえのに、何ういう訳でわりゃア拒むな
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だからお勢みたようなこんな親不孝なもんでもそう何時までもお懐中ぽっぽあすばせてもおけないと思うと私は苦労で苦労でならないから、此間こないだあたしがネ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その九市が、また、碌なもんじゃなか。若い癖して、鬼高利貸になって、こいつも、親父になろうて、妾を持っちょるちゅう話じゃ。なんでもよか。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
それに連れて「やっぱり親身のもんでないとなあ」とか「仏も仕合わせたい」とか近廻りの者が噂し初めた。
骸骨の黒穂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「うらウオロコウ※ツキのもんだがね……」とまだめんつてゐる。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
俺あ丹下左膳てえもんだ(発端篇)
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
俺らあ若い元気もんだ!
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
多「なにあんた、そんなに年イ取った/\といわなえがいゝ、わけもんでも寒いだ、なんだかハア雪イ降るばいと思う様に空ア雲ってめえりました」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「玉井君、君は、「竹の家」の辻木惣八つじきそうはちは、よう知っとるじゃろ? 君もなんぼか、浄瑠璃を語るし、義太夫をやるもんで、辻木を知らん者はない。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
貴君あなたどうして今時高利貸したッて月三十五円取ろうと言うなア容易なこっちゃア有りませんヨ……三十五円……どうしても働らきもんは違ッたもんだネー。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
出されたら承知しませんよ。モトモトあの小僧は甲板組デッキもんですからね
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「何処のもんだツてば?」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
太「はい有難う、誠にまアどうも明日あした立つだって、魂消て来たでがんす、どうもこれ名残い惜くって渡口まで送るというもんが沢山ござえます」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そりゃあね、たまには旦那のような優しい親切なお方も有りますけど、どうせあたしのようなもんの相手になる者ですもの、みんな其様そんな薄情な碌でなしばかしですわ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
親父のけえらぬうちは嫁にもかぬ聟も取らぬ、元服もしねえ、親父に聴かねえうちにしては済まぬてえれは変りもんでげす、いけませんよ、へえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
傳「から何うも仕様がねえ変りもんでげすな、おめえさんの云う通り白髪しらがの島田はないからねえ、何うも仕様がないね何うも」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
永「何うよったじゃア、深更しんこうになってまア其の跣足で、そないな姿なり此処こゝへ来ると云う事が有るかな、困ったもんじゃア、此処へ来い、何うした」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あ……夢かア、おや/\盲人めくらてえものはめうもんだなア、てゐるうちには種々いろ/\のものが見えたが、めたらなにも見えない。……心眼しんがんふお話でございます。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
己に親孝行な娘が一人有っての、今年十七になるお久てえもんだが、今日吉原の角海老へ駆込かっこんでって、親父が行立ちませんから何うか私の身体を買っておくんなさい
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぞんぜえもんだから……安兄い此処こけえ来ねえ、此の人がソノ、万年町の岡本という刀屋の番頭ばんつさんで此の芝のお出入り屋敷へ……重さん何とかいう屋敷だっけ、ウン金森さ
何をたって連藏さんとは心安いもんで、きのこちっとばかり採ったから商売の種に遣りてえと思って持って来て、縁側で一服って居ると、向うの離座敷で暴れ廻る客があるだ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
若いもんじゃア婆さんも油断はしめえが、此方こっちは最う四十の坂を越えて居るから安心するだろう
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幸「内輪のもんにはちげえねいが、どうも只今も申す通り、どうも其の御領主様の、どうもその」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
マ幾らか官職を帯びてもんじゃ、亭主の留守には宅に居る下男といえども、家内と席をともにせんと云うのが女子おなごの道じゃ、うなければ家事不取締のそしりは免がれん事じゃ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うちもん心配しんぺえを掛けて本当に困るじゃアねえか、阿母おっかアはおめえを探しに一の鳥居まで往ったぜ、親の心配は一通りじゃアねえ、年頃の娘がぴょこ/\出歩いちゃアいけねえぜ
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男「此の始末はマア何う云うもんか、呆れて仕舞しもうたなア……僕が僅かに十日ばか東京とうけいに参って居た留守の間に、隠し男を引入れるとは実にしからん事じゃ……これ密夫みっぷ貴様は何処のもんじゃ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
喜「云います/\、萩原束という浪人もんでごぜえやす」
太「それじゃアわしは内輪のもんじゃねえかえ、はーい」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)