)” の例文
本当に君は罪造りですよ、男もあんまく生れると罪だねえ、死んだものは仕方がありませんからお念仏でも唱えてお上げなさい、左様なら
湖上の弦月げんげつと暁の雪峰せっぽう 暁霧ぎょうむを冒して少しく山の上に登ったところで、いかにも景色がうございますから湖面を眺めますと
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「父親の官兵衛よりは眉目みめい。母御ははごに似たと見ゆる。気性もしっかり者らしい。良い和子わこだ。なかなか良いところがある」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男はし、肌も白し、虫も殺さぬ顔をしているから、人殺しの兇状きょうじょうこそなけれ、自来也じらいやの再来とまでいわれた人間だった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
心掛次第で人相が悪く生れて居てもくなりますところが、実に人相に取つて或程度までは人相の信ぜられる理由です。
運命は切り開くもの (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「君は拙者と違ってい男だから、労働者にするはかわいそうじゃ。しかしそれだけの勇気のあることが頼もしい。そして、いつ出かけるつもりだ」
面と姿が人形のようにくて、それで色気がたんまりあろうてえたぼが一枚入り用なのだ。ちょうどおめえのような——
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
淺蜊あさりやア淺蜊あさり剥身むきみ——高臺たかだい屋敷町やしきまちはるさむ午後ごご園生そのふ一人ひとり庭下駄にはげた爪立つまだつまで、そらざまなるむすめあり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
長崎の小曽根で一日宿の主人等と花見に行く時お内儀かみさんが、今日はいのを御召しなさいと云つたけれど、私は平生着ふだんぎの次ぎのをて行きましたが
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
吾は此方に蒲公英、母子草はゝこぐさ金鳳花きんぼうげ金仙花きんせんくわ、福壽草など栽ゑんは色彩いろどり如何に。見よ、光よ。色彩いろどりからずや。
花枕 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
何處どこいともまをしがたけれど華魁衆おいらんしゆとて此處こゝにてのうやまひ、たちはなれてはるによしなし、かゝるなかにて朝夕あさゆふごせば、きぬ白地しらぢべにこと無理むりならず
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「女がくったって、名前もおっしゃらない方にお目にかかるわけには参りません、と言って断って来い」
しからば下民かみんすくいこうむかみの大利とならん。その大益俗諺ぞくげんの如く、両の手にき物を得たるものというべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それがし山に入りてより、四年四月よとせよつきは日夜撓まず勤行ごんぎやう苦行、ひたすらに頓漸とんぜん秘密の理を追へども……(また咏嘆の調にて)かの日の幸に比べむ幸なく、わがき人に似る神も……
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
雪江さんは私よりも一つ二つ、それともみッぐらい年下かも知れないが、お出額でこで、円い鼻で、二重あごで、色白で愛嬌が有ると謂えば謂うようなものの、声程に器量はくなかった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「わしはお前に、い酒を授けてやつた。これからえらい子供を授けてやる。……」
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
きものをしと言い、しきものをしという。それも嘘であった。だいいち美きものを美しと言いだす心に嘘があろう。あれも汚い、これも汚い、と三郎は毎夜ねむられぬ苦しみをした。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
村からも渋皮の剥けた娘——村嬢そんじょういところを幾人か連れて来、酒宴の席へ侍らせたり、これも上尾の宿から呼んだ、常磐津ときわずの女師匠や、折から同じ宿にかかっていた、江戸の芝居の役者の中
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かれ木幡こはたの村に到ります時に、その道衢ちまたに、顏き孃子遇へり。
おほつづみかゝへかねたるその頃よきぬきるをうれしと思ひし
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
青すだれ吹く夕風はき人の稽古さらへをへたる窓よりもれて
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
冬の田は稻ぐき黒き列竝つらなみに鱗だちたりき氷張り
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
すべてのものにき名をあたへた人間
ありしをしのぶるならし。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
細く妙なるきこゑを
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
かほ子等こらいざなひて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
女は容貌みめ形ばかりくっても心掛が悪くっては何にもなりませんが、此のお花さんは海も山も備わった、実にんとも云えないい娘で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
恋をしようと、一個のい鎧具足を註文しようと、彼等のあいだには常に、夢寐むびの間にも、「明日あすは知れないいのち」という人生観があった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遂に力寿が非常にい女だということが定基耽溺たんできの基だというのに考えが触れて、美色ということにほこが向いたろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
身代りになるおんななぞは、白衣びゃくえを着せてひなにしょう。芋殻いもがらの柱で突立つったたせて、やの、数珠じゅずの玉を胸に掛けさせ
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「女がくつたつて、名前も仰しやらない方にお目にかゝるわけには參りません。と言つて斷つて來い」
いや、鬼頭天王の堂守といえば、もういい年だが、あれで若い時は相当にかったぜ、今こそ堂守で行い澄ましているが、まだ見られる色香、いや、まだ聞かれる声だった。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
赤ゑり赭熊しやぐま裲襠うちかけの裾ながく、につと笑ふ口元目もと、何處がいとも申がたけれど華魁衆おいらんしゆとて此處にての敬ひ、立はなれては知るによしなし、かゝる中にて朝夕を過ごせば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「一、二度見かけたことがあるが、そのお妾さん縹緻きりょうだった」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
人品じんぴんを落すほどにつくッて、衣服もなりたけいのをえらんで着て行く。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ごくい方でもないが普通よりかい方なんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
冬の田は稲ぐき黒き列竝つらなみに鱗だちたりき氷張り
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そのかみのをしのぶ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
はい宜く稼ぎますが、丁度飯山の御城下へまいり、お酒のいのを買って参りましたが、お肴はなんにもございませんが、召上って下さいまし
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「身装もいいし、縹緻きりょうい。まさか、野天の辻野郎でもあるまいに、何だッて今頃まで、町をうろついているんだい」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貪色たんしょくの二字は実に女のいのをずる者にはピンと響かずには居ない語だ。夏姫というのは下らない女ではあったが、大層美い女だったには疑無い。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
きやうはお高祖頭巾こそづきん眉深まぶか風通ふうつう羽織はおりいつも似合にあはなりなるを、吉三きちざうあげおろして、おまへ何處どこきなすつたの、今日けふ明日あすいそがしくておまんまべるもあるまいとふたではないか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
町の全体に、ほとんど幾人というほどしか留守番がいないで、声のいものは声を自慢に、踊りのうまいものは身ぶりを自慢に、茂太郎の馬の廻りは、たちまちの間に何百人という人の輪を作ります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
い女ぶりや、粗末にはしまいこと)
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
き人なりき、花ごろも
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
き歡喜のしたたりが
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
眉目みめい八、九歳の少年が「……お母さま……」と、大声を発し、あたりの者へ「母者ははじゃがいない……母者を捜して」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和「何サ、その長二郎と申す者は役者のようない男じゃによって、島路が懸想でもしてるなら、身が助七に申聞けて夫婦みょうとにしてやろうと思うたのじゃ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うかれうかれて入込いりこむ人の何を目当と言問こととはば、赤ゑり赭熊しやぐま裲襠うちかけすそながく、につと笑ふ口元目もと、何処がいとも申がたけれど華魁衆おいらんしゆとて此処にての敬ひ、立はなれては知るによしなし
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「なるほど。むうう。い色だな」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)