明星みやうじやう)” の例文
ときに、真先まつさきに、一朶いちださくら靉靆あいたいとして、かすみなか朦朧もうろうたるひかりはなつて、山懐やまふところなびくのが、翌方あけがた明星みやうじやうるやう、巌陰いはかげさつうつつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
空は鏡のやうにあかるいのでそれをさへぎつゝみ木立こだちはます/\黒く、星はよひ明星みやうじやうたつた一つ見えるばかりでこと/″\く余りにあかるい空の光にき消され
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
くびすぢには月光のやうな蒼白あをじろい光の反映があり、同じかすかな輝きは、あはい雲の列を染め、宵の明星みやうじやうの夢幻的な姿はそこから現はれて身をかゞめてゐた。
あゝ横笛、花の如き姿いまいづこにある、菩提樹ぼだいじゆかげ明星みやうじやうひたひらすほとり耆闍窟ぎしやくつうち香烟かうえんひぢめぐるの前、昔の夢をあだと見て、猶ほ我ありしことを思へるや否。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
物皆かげに搖めきて暗うなる間を明星みやうじやう
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
思ひ切つたる明星みやうじやう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
たまたま! 赫奕かくやくたる明星みやうじやう持主もちぬしなる、(おう)の巨魁きよくわい出現しゆつげんじゆくして、天公てんこう使者ししやくちりて、あらかじいんをなすものならむか。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明星みやうじやう、君が節操みさをにわれあえなむ——
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
しかりとはいへども、雁金かりがね可懷なつかしきず、牡鹿さをしか可哀あはれさず。かぶと愛憐あいれんめ、よろひ情懷じやうくわいいだく。明星みやうじやうと、太白星ゆふつゞと、すなはち意氣いきらすとき何事なにごとぞ、いたづら銃聲じうせいあり。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おなたかさにいたゞきならべて、遠近をちこちみねが、東雲しのゝめうごきはじめるかすみうへたゞよつて、水紅色ときいろ薄紫うすむらさき相累あひかさなり、浅黄あさぎ紺青こんじやう対向むかひあふ、かすかなかゆきかついで、明星みやうじやう余波なごりごと晃々きら/\かゞやくのがある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)