料簡れうけん)” の例文
「まあ其麽そんなことゆはねえで折角せつかくのことに、勘次かんじさんもわる料簡れうけんでしたんでもなかんべえから」となだめても到頭たうとう卯平うへいかなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ぼつちやん、こんな世迷言よまひごとまをしまして、今更いまさら貴下あなたに、おわびねがつて、またかゝりたいのうのとまをします、うした料簡れうけんではござりませんが
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もういよ/\料簡れうけんがならねえ。うぬ、生膽いきぎもを取った上で、兩國りやうごくのもゝんじい屋へ賣飛ばすからさう思へ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
年季ねんあけるといつて何處どこかへ料簡れうけん此處ここはおまへさんのうちではないか、このほかにくところもからうではないか、わからぬことふものではありませぬとしかられて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今までの多くの人は平安朝文明は大層立派なもののやうに言做いひなしてゐる者も多いことであるが、少し料簡れうけんのある者からにらんだら、平安朝は少くも政権を朝廷より幕府へ
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「まあ、つていてないうちは、料簡れうけんわからないがね」と宗助そうすけふと、御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
カピ長 うゝ、御坊ごばうかげで、ちと料簡れうけんなほりをらうわい。氣儘きまゝな、沒分曉的わからずや賤婦あまっちゃめぢゃ。
何日いつになつたつて我々われ/\けつしてすものか。』イワン、デミトリチはふ、『我々われ/\こゝくさらしてしま料簡れうけんだらう! 來世らいせい地獄ぢごくがなくてるものか、這麼人非人共こんなひとでなしども如何どうしてゆるされる、 ...
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そして、自分ながら意気地いくぢなく、明日からまた気をとり直して、みつしり働かうといふ料簡れうけんになるのであつた。此の料簡は今から二年前、彼が此波止場へ着いた時の心持と稍々やゝ同じ者である。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
さういふ伴侶なかまことをんな人目ひとめすくな黄昏たそがれ小徑こみちにつやゝかな青物あをものるとつひした料簡れうけんからそれを拗切ちぎつて前垂まへだれかくしてることがある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
店子たなこに代つて家主のわたしがお詫をしますから、どうぞ料簡れうけんして遣つてください。おゝ、おゝ、泥だらけになつた。(手拭で彦三郎の膝のあたりを拭いてやる。)
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
樣子やうすうも、ふびんや、あま小遣こづかひがなかつたらしい。もつとものはりぞくがうするてあひは、懷中くわいちう如何いかんかゝはらず、うしたさもしい料簡れうけんと、むかしから相場さうばづけにめてある。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれ坂井さかゐいへに、たゞいやしくもまぬかれんとする料簡れうけんつた。さうして、その目的もくてきたつするために、はぢ不愉快ふゆくわいしのんで、好意かうい眞率しんそつちた主人しゆじんたいして、政略的せいりやくてき談話だんわつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一寸いつすん猶豫ゆうよもならぬとそれは/\にもかゝれぬだんじやうおまへにも料簡れうけんあることゝやうやうに言延いひのべてかへりますまでたのんではいたれどマアどうしたらからうか思案しあんしててくだされと小聲こごゑながらもおろ/\なみだあんじなされますなうにかなります今夜こんや大分だいぶけましたから明日あした早々さう/\出向でむきまして談合はなしあひを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なあに爺樣ぢいさませえちつとそのつもりつてれせえすりや、いくらでも面倒めんだうるつちつてんだが、如何どういふ料簡れうけんのもんだからがにやわかんねえが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
皿が惜さにこの菊を成敗すると思うたら、それは大きな料簡れうけんちがひぢや。菊。その皿をこれへ出せ。
番町皿屋敷 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
仕方しかたがないよ。叔母をばさんだつて、やすさんだつて、さうわる料簡れうけんはないんだから」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぶやうに列車れつしやぐる、小栗栖をぐるすまどからのぞいて、あゝ、あすこらのやぶからやりて、馬上ばじやうたまらず武智光秀たけちみつひで、どうと落人おちうどから忠兵衞ちうべゑで、あし捗取はかどらぬ小笹原こざさはらと、線路せんろ堤防どて枯草かれくさ料簡れうけん
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それではおすがの家で捨て置くまいと思ふ筈だがおすがのお袋は少し愚圖な氣のいゝ女で只娘が可愛くて兼次との間を裂かうなどゝいふ料簡れうけんは微塵もない。
芋掘り (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
女房かみさん料簡れうけんぢやあ、廓外そとて——それこそ新橋しんばしなぞは、近來きんらい吉原よしはらおの大勢おほぜいつてるから——彼處等あすこらつて待合まちあひでもすれば、一番いちばん間違まちがひいとおもつたのだが、此議これまたそのむすめ大反對だいはんたい
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これまで幾度いくたびと数知れず根競こんくらべと思つて意見をしても少しも料簡れうけんが直らない、道で遊んで居ては人眼に立つと思ふかして途方も無い学校へ行くてつちやあうちを出て、此頃このごろは庭の竹藪に隠れて居る。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「うんこはえ筈だ、つまんねえ料簡れうけん出すから」
芋掘り (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
から、路銀ろぎん算段さんだんをする料簡れうけん
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)