支那人しなじん)” の例文
牛込のその下宿は、棟が幾個いくつにも分れて、綺麗な庭などがあったが、下宿人は二人ばかりの紳士と、支那人しなじんが一人いるぎりであった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
支那しな内地ないちからるものと非常ひじようによくてゐるので、どうしてもこれは支那人しなじん祖先そせん使用しようしたものらしくおもはれるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
もつとも、支那人しなじん麻雀マアジヤンしたしい仲間なかま一組ひとくみたのしむといふやうに心得こゝろえてゐるらしいが、近頃ちかごろ日本にほんのやうにそれを團隊的競技だんたいてききやうぎにまですゝめて
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
で、とうとう聞かさないでしまいましたが、いや、実に弱ったです。困りましたな、どうも支那人しなじんの野蛮なのにゃあ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
支那人しなじんらしかった。私は彼が日本語を解するのかどうかを知らなかったので、英語と日本語をまぜこぜにしながら
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「セエラちゃん、お隣には黄色い顔の小父おじさんがいるのね。支那人しなじんかしら? 地理の本には、支那人は黄色い顔をしている、と書いてあったけれど。」
主人しゆじん蒙古人もうこじん上手じやうずうまあつかことや、蒙古犬もうこいぬせて細長ほそながくて、西洋せいやうのグレー、ハウンドにてゐることや、彼等かれら支那人しなじんのために段々だん/\せばめられてこと
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
黄海こうかい一帯の沿岸からあの辺の海岸や島々をかけて荒らし廻る、大仕掛けな支那人しなじんの海賊団があった。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
支那人しなじんしているちいさい料理店りょうりてんへ、わたしは、たびたびいきました。そこの料理りょうりがうまかったためばかりでありません。また五もくそばのりょうおおかったからでもありません。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、もしこの手紙を受け取ったとすれば、君は必ず僕の運命に一驚いっきょうきっせずにはいられないであろう。第一に僕はチベットに住んでいる。第二に僕は支那人しなじんになっている。
第四の夫から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「いや、西洋人でもなければ、支那人しなじんでも日本人でもない。夢の国にゐるものだよ。」
夢の国 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
東洋民族とうやうみんぞくがいして苗字めうじさきにしあとにするの風習ふうしふである。支那人しなじんはその適例てきれいである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
南滿洲みなみまんしゆうには、やはり石器時代頃せつきじだいころからすでに人間にんげんんでをりましたが、しゆうすゑからかんはじめに支那人しなじんさかんに植民しよくみんしてゐたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
張作霖ちやうさくりんはず、如何いか支那人しなじん麻雀マアジヤンくかといふことはいろいろはなしくが、おどろくことは彼等かれらも三不眠不休ふみんふきうたゝかひつづけて平氣へいきだといふことだ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「あれは、支那人しなじんかしらん……。」と、ちょっと父親ちちおやは、まっていてみました。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
歴史れきしても最初さいしよから伏羲氏ふくぎし蛇身じやしん人首じんしゆであつて、神農氏しんのうし人身じんしん牛首ぎうしゆである。ういふふう支那人しなじん太古たいこから化物ばけもの想像さうざうするちから非常ひぜうつよかつた。是皆これみな國土こくど關係くわんけいによることおもはれる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
例の支那人しなじんのボオイを呼んで、朝飯はまだ食わせてくれるかと聞いたら、すこし怒ったような顔つきをして、朝食を食べるならもう少し早く起きてほしい、もう十二時だ、と下手糞へたくそな日本語で
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
さてその北朝鮮きたちようせんには高句麗こうくりといふ朝鮮人ちようせんじんくにてられて、支那人しなじん勢力せいりよくがだん/\なくなつてしまひました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
で、それほどばくちきな支那人しなじん工夫くふう考案かうあんしたものだけに、麻雀マアジヤンほど魅力みりよくのある、かんじのいい、くことをらないあそびはまア世界せかいにもあるまいかとおもはれる。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
燭台しょくだいふるいのや、南洋なんよう土人どじんったような織物おりものや、またオランダあたりからきたつぼや、支那人しなじん腰掛こしかけていたような椅子いすや、ストーブのさびたのなどまでかれてありました。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
宣撫班せんぶはんって、支那人しなじんのせわをしてあげるの。」と、とみさんがたずねました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)