如何どう)” の例文
如何どう云ふ様に自分の態度を執るか、了見をめるか、口を利くか、身体を動かすか、智慧をめぐらすか、力を用ふるかといふ事である。
些細なやうで重大な事 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
初めは木戸、大久保が中心であったが、この二人の死後如何どうかというに、木戸、大久保に吸収された人物が代ってまた中心となった。
マダム馬鈴薯の御入來だ。袷には黒く汗光りのする繻子の半襟がかゝつてある。如何どう考へても、決して餘り有難くない御風體である。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
商人どもはこのボイコットを如何どうして見過していよう。彼らは農家の戸別訪問をして糧秣廠よりも遙かに高価に引受けると勧誘した。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
で、高等かうとうればしたがつてよりつよ勢力せいりよくもつて、實際じつさい反應はんおうするのです。貴方あなた醫者いしやでおゐでて、如何どうして那麼譯こんなわけがおわかりにならんです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「鰻? 鰻ですか。フフフフフ、いや、鰻でも悪い。ピアノは鰻を置く処じゃない。んなにおどかしてし病気になったら如何どうします」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
如何どうなったのだろう? 烏山の天狗犬てんぐいぬまれたのかも知れぬ。三毛みけは美しい小猫だったから、或は人にいて往かれたかも知れぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かくしてミルポウの『商売は商売だ』中の財政家はある不明な画を指して「如何どうですこの傑作は、なんしろ五万フランですからな——」
少数と多数 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
さら猛進もうしんしたが、如何どうおもはしくなく、かへつて玄子げんしはう成功せいかうして、鍋形なべがた側面そくめんせうなる紐通ひもとほしのある大土器だいどきが、ほとん完全くわんぜんた。
けれどわたし如何どういふものか、それさはつてすこしもなく、たゞはじ喰出はみだした、一すぢ背負揚しよいあげ、それがわたし不安ふあん中心点ちうしんてんであつた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
しかしその男が軍人で、さる激戦の時、砲煙弾雨を犯して戦友を救わんがために紀念として与えられた疵であると知ったら如何どうだろう。
イエスキリストの友誼 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
教会へは及ばずながら多少の金を取られてる、さうして家庭かない禍殃わざはひ種子たねかれでもようものなら、我慢が出来るか如何どうだらう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
おなひとですら其通そのとほり、いはんやかつこひちかられたことのないひと如何どうして他人たにんこひ消息せうそくわからう、そのたのしみわからう、其苦そのくるしみわからう?。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
如何どうかしてアベコベにこの男に蘭書を教えて呉れたいものだと、生々なまなまの初学生が無鉄砲な野心を起したのは全く少年の血気に違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それが如何どうしたものか何時いつにやらひど自分じぶんからおしなそばきたくつてしまつて、他人たにんからかへつ揶揄からかはれるやうにつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
乳母 てん如何どうあらうと、ロミオは無慈悲むじひぢゃ。おゝ、ロミオどのが、ロミオどのが! ……れがおもひがけうぞい? ロミオどのが!
大佐閣下たいさかつか鐵車てつしや見事みごと出來できましたれば、ぜんいそげでいまからぐと紀念塔きねんたふてに出發しゆつぱつしては如何どうでせう、すると晴々はれ/″\しますから。
吸物のふたを取ると走りの松蕈まつたけで、かうばしい匂がぷんと鼻にこたへる。給持きうぢ役僧やくそうは『如何どうだ』といつた風に眼で笑つて、してつた。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
自分が十二年もゐた家に、今は如何どう云ふ人が住み、如何云ふ生活がなされてゐるかと、想像するのは、甘い楽しみであつたから。
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
泣く、泣く、泣く、如何どうして今の市民には彼程までに悲劇なるものがその意に投じてゐるか? 理論では決して解らぬ現象です。
山彦の街 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
二升四合の米ではとても遣り切れないと腹の中でそろそろ逃げ支度にかかりながら、顔だけは平気を装って、オイ如何どうすると聞いて見る。
釜沢行 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
学校がいやなら如何どうするつもりだと聞いたら、まアどうでせう、役者になるんだツてふんですよ。役者に。まア、どうでせう。にいさん。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
夫ぢやアやつて下さるか如何いかに吾儕われがことをかまて見せようが此姿すがたでは如何どうかう詮方しかたがねへ付ては身姿みなりこせへるだけ金をば五兩貸てくれ。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
運命なのか、地面へ飛び下りるつもりの彼女は、丁度そのあなへどんと俯伏うつぶせにちこんだ時、如何どうとも全力が尽きてしまった。
正しかった者、言い換えれば生きている間正しかった者、即ち最早死んでいて口の無い者は、如何どうしたらよろしいのでしょう。
死者の権利 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
如何どうかんがへても聖書バイブルよりは小説せうせつはう面白おもしろいにはちがひなく、教師けうしぬすんでは「よくッてよ」小説せうせつうつゝかすは此頃このごろ女生徒ぢよせいと気質かたぎなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
亭主や子供に遇わないので如何どうしたことかと心配しながら淋しいのを堪えて小釜の森まで来た。此処は昔から狐が出るので有名な所である。
恭三の父 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
福介ふくすけもその一人で、今から五年前、出羽の秋田から江戸へ出て来て、かかるつもりの忰や娘に先立たれ、知らぬ他国で如何どうしようもなくなって
自分では如何どうにもならない、女房に如何にかして貰ふ外には爲方が無いといふやうな、久保田君獨特の他力本願なのである。
これは如何どうしてもその抜け道を利用して何んとかこの場を切り抜けて始末をせんければならないと師匠東雲師が先に立って
その時にはまだ私も気が附いていたのだが、さて将監橋を渡り切る頃には、如何どうしたものか、それからきは、いまだに考えてみても解らない。
死神 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
しかし私達二人は生きながら悪鬼となって、人情を軽蔑したあなたを始め、釈迦仏教団の人々に向って生々世々しょうしょうせせ怨みをなすが、これは如何どうだ?
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
何ぼ自然主義だと云って、斯う如何どうもダラダラと書いていた日には、三十九年の半生はんせいを語るに、三十九年掛るかも知れない。も少し省略はしょろう。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
やらないで野育ちにという訳では無い、成可なるべく金肥をつかわないでやれないか如何どうかという問題である、出来るだけの肥料は自給して、金肥を
あいちやんはかへらうとしましたが、いかさけ女王樣ぢよわうさまのおこゑとほくにきこえたので、如何どうなることかとほも競技ゲームてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
第一中隊のシードロフという未だ生若なまわかい兵が此方こッちの戦線へ紛込まぎれこんでいるから⦅如何どうしてだろう?⦆とせわしい中でちら其様そんな事を疑って見たものだ。
「みよーさん、(娘の名)貴嬢あなたは、まあ如何どうして、こんな所へ来なすっただ」とたずぬると、娘はその蒼白あおじろい顔をもたげて、苦しそうな息の下から
テレパシー (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
たゞ、現在だけが彼女であつた。それに、六十万円の金といふのが、かなりゆき子を大胆にしてゐた。如何どうにか切り抜けられる金でもあるからだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「病院の方では、部屋を明けて御待ち申して居るさうです。院長さんも、飯島さんの奥さんは如何どうなすつたらうつて、私共へ言伝ことづてがありました。」
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
如何どうしても自分には偶然の出来事として看過かんかすることは出来ない、これは一つ哲学者の一考をわずらわしたいものである。
頭上の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
外に出て買う時に限って敷島しきしまを吸うのは、十銭銀貨一つほうり出せば、釣銭つりせんらずに便利だからである。朝日よりも美味うまいか如何どうか、私には解らぬ。
黒澤さまはお畫師では御座りませぬか、兄さまもお畫はお好きなるに、私しは畫が學びたう御座ります、畫をならひて如何どうするつもりぞと又問へば
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
余りの不思議さに狐につままれたようになりつつ、自分が正気でいるか如何どうかを確かめるような気持ちで、まず絵巻物の新聞包みをソロソロと開いた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
如何どうも劃然と對等のやりかたでは無かつたらしく想はれる。しかし歴代の遣唐使が、支那に交通する他の國々とは異つて、一度も上表を持つて行かない。
聖徳太子 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
それに君如何どうだ、細君は殆んど僕等の喰ひあましの胡蘿蔔にんじん牛蒡ごぼうにもありつかずに平素しよつちう漬物ばかりをかぢつてる、一片ひときれだつて亭主の分前わけまへに預つたことはないよ。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
(三)ヒヤーこりゃ如何どうじゃ。アノ四角、一夜のうちに八角に成りよった。この分でわまた明日わ、十角や二十角にも成るだろう、こりゃ所詮しょせんかなわぬわイ。
三角と四角 (その他) / 巌谷小波(著)
技芸はどうでも、顔のよしあしは如何どうでも、ただそれだけでも残りとどまる名であるのに、何という運のよいことか、貞奴は美貌びぼうであり、舞台もおろそかでない。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あだか向岸むこうぎしの火事を見る様にかたわらで見ていて如何どうする事も出来ず、ただはらはらと気をんでいたばかりであった。
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
と、如何どうした訳か、彼女の顔には喜色の代りに、一抹の憂色が漂いはじめた。康雄は早くもそれに気附いて
好色破邪顕正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
最近の将来が解決しなければならない今日当面の問題は如何どうすれば人は自分自身であると同時に他の人々と一つになり、全人類と深く感ずると共に各自の個性を
「婦人解放の悲劇」自序 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)