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仕合
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しあわ
ふりがな文庫
“
仕合
(
しあわ
)” の例文
そんな立派な人が、こうした美しい物語を書きのこしてくれたことは、少年少女にとって、非常な
仕合
(
しあわ
)
せといわなければなりません。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
その男は
仕合
(
しあわ
)
せにも大した
怪我
(
けが
)
もせず、
瀑布
(
ばくふ
)
を下ることが出来たけれど、その一
刹那
(
せつな
)
に、頭髪がすっかり白くなってしまった
由
(
よし
)
である。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そうなればいいですとも。あなたも
仕合
(
しあわ
)
せだし、わたしも安心だ。——しかし
異見
(
いけん
)
でおいそれと、云う通りになる男じゃありませんよ」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お前さんは
真実
(
ほんとう
)
にお
仕合
(
しあわ
)
せだ、お袖さんが何もかもおしだからといふから。ナゼそんな事をと聞ひて見ると、隣の花ちやんがいつてたそうだ。
小むすめ
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
「ふん、ふん、そりゃ結構だねえ、お前さんは
仕合
(
しあわ
)
せだよ。旦那さんの世話をよく見てあげて大切にしなきゃいかんよ」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
仕合
(
しあわ
)
せと
義兄
(
にい
)
さんは子供の時から絵を
描
(
か
)
き初められると、何日も何日も
室
(
へや
)
に閉じ籠って、決して人にお会いにならない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
妾
(
わたくし
)
めは
吉
(
きち
)
と申す
不束
(
ふつつか
)
な田舎者、
仕合
(
しあわ
)
せに御縁の端に
続
(
つな
)
がりました上は
何卒
(
なにとぞ
)
末長く
御眼
(
おめ
)
かけられて
御不勝
(
ごふしょう
)
ながら
真実
(
しんみ
)
の妹とも
思
(
おぼ
)
しめされて下さりませと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「でもそれが私の
仕合
(
しあわ
)
せになるのです。けっして悪いことにはなりません。どうか私のいうとおりにして下さい。」
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「お
宜
(
よろ
)
しいように、どうぞ旦那、ありがたい
仕合
(
しあわ
)
せで。だが、わしらもわかっておりますが……死に神がむかえに来たものは、もうどうにもならないんで。」
ねむい
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ところで、お前さんは、まだこういうことを知ってるかい?
乞食
(
こじき
)
っていうものは、あたしたちより
仕合
(
しあわ
)
せなんだよ。あたしがそういうんだから、オノリイヌ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それは痔の気も知らねば、蚤の煩わしさも知らず、また大して頭の
能力
(
はたらき
)
もないといった、誠に
仕合
(
しあわ
)
せな人々だけが享受する、あの実に素晴らしい眠りであった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
さる頃も或人の
戯
(
たわむれ
)
にわれを捉へて
詰
(
なじ
)
りたまひけるは今の世に小説家といふものほど
仕合
(
しあわ
)
せなるはなし。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私
(
わし
)
だっても年頃になれば
女房
(
にょうぼ
)
を持たねえ訳にはいきません、
此間
(
こないだ
)
あんたが嬉しい事を云ったから女房にしようと約束はしたが、まだ
同衾
(
ひとつね
)
をしねえのが
仕合
(
しあわ
)
せだから
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今の世界に人間普通の苦楽を
嘗
(
な
)
めて、今日に至るまで大に
愧
(
はじ
)
ることもなく大に後悔することもなく、
心
(
こころ
)
静
(
しずか
)
に月日を送りしは、
先
(
ま
)
ず
以
(
もっ
)
て身の
仕合
(
しあわ
)
せと
云
(
い
)
わねばならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
今度の新たなる企てによって、単に我々の仮定が成長しただけでなく、単なる文字の間からでもなお色々の古い歴史が
掬
(
く
)
み取られるようになったことは
仕合
(
しあわ
)
せである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ああ
僕
(
ぼく
)
はあの
見
(
み
)
っともない
家鴨
(
あひる
)
だった
時
(
とき
)
、
実際
(
じっさい
)
こんな
仕合
(
しあわ
)
せなんか
夢
(
ゆめ
)
にも
思
(
おも
)
わなかったなあ。」
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「これは
仕合
(
しあわ
)
せなことじゃ、どうか暫らくこの道場を預かっていただきたい」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『あんなにお
美
(
うつく
)
しい
御縹緻
(
ごきりょう
)
に
生
(
うま
)
れて
敦子
(
あつこ
)
さまは
本当
(
ほんとう
)
に
仕合
(
しあわ
)
せだ……。』そう
言
(
い
)
ってみんなが
羨
(
うらや
)
ましがったものでございますが、
後
(
あと
)
で
考
(
かんが
)
えると、この
御縹緻
(
ごきりょう
)
が
却
(
かえ
)
ってお
身
(
み
)
の
仇
(
あだ
)
となったらしく
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「すまんことだね。隠居さんは日本中での
仕合
(
しあわ
)
せ者ですよ。」
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
「死にたいとき死ねる者は
仕合
(
しあわ
)
せだ。好きにしろ」
城を守る者
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私は一渡り、女の全身を、双眼鏡の先で、
嘗
(
な
)
め廻してから、その娘がしなだれ掛っている、
仕合
(
しあわ
)
せな白髪男の方へ眼鏡を転じた。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その代り
推
(
お
)
して、御米の信仰について、詳しい質問も掛けなかった。御米には、それが
仕合
(
しあわ
)
せかも知れなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「だがねふみや、
仕合
(
しあわ
)
せなことに、お前を
貰
(
もら
)
ってくれるところがあるんだよ。そこは、うち見たいに貧乏でないし、しまいには
玉
(
たま
)
の
輿
(
こし
)
にさえ乗れるかも知れないんだよ」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
之
(
これ
)
に反して藩の方から手前達のような家来が
数代
(
すだい
)
神妙に奉公して
呉
(
く
)
れたからこの藩も
行立
(
ゆきた
)
つと
斯
(
こ
)
う云えば、
此方
(
こっち
)
も
亦
(
また
)
言葉を改め、
数代
(
すだい
)
御恩を
蒙
(
こうむっ
)
て
難有
(
ありがた
)
い
仕合
(
しあわ
)
せに存じ奉ります
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
何しろあの大家を踏まえて行くには、旦那様よりも奥様が、これからしっかりあそばさなくてはなりませぬ、好いところへお嫁入りすればするほど、お
仕合
(
しあわ
)
せもお仕合せだがお骨も折れましょう
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何も
互
(
たがい
)
にワザと見るというのでも無いが、自然と相見るその時に、夫の
眼
(
め
)
の中に
和
(
やわ
)
らかな心、「お前も平安、おれも平安、お互に
仕合
(
しあわ
)
せだナア」と、それほど立入った細かい
筋路
(
すじみち
)
がある訳では無いが
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ああ
子家鴨
(
こあひる
)
にとって、どうしてこんなに
美
(
うつく
)
しく、
仕合
(
しあわ
)
せらしい
鳥
(
とり
)
の
事
(
こと
)
が
忘
(
わす
)
れる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たでしょう! こうしてとうとうみんなの
姿
(
すがた
)
が
全
(
まった
)
く
見
(
み
)
えなくなると、
子家鴨
(
こあひる
)
は
水
(
みず
)
の
中
(
なか
)
にぽっくり
潜
(
くぐ
)
り
込
(
こ
)
みました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
新「
引取
(
ひきと
)
りますとも、
貴方
(
あなた
)
が勘当されゝば私は
仕合
(
しあわ
)
せですが、一人娘ですから御勘当なさる
気遣
(
きづか
)
いはありません、
却
(
かえ
)
って
後
(
あと
)
で
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
かれるような事がなければ
宜
(
い
)
いと思って私は苦労でなりませんよ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ご機嫌よう、お
仕合
(
しあわ
)
せでね。悪くお思いにならないでね。わたくしたち、これっきりもうお別れに致しましょうね。だってそうなんですもの、二度とお目にかかってはなりませんもの。ではご機嫌よう」
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
初めはうまいことをいって、あたしを
仕合
(
しあわ
)
せにしてやると約束して置きながら、ちっとも仕合せになんかならなかったのです。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今度こそは母も
縁附先
(
えんづきさき
)
に落ち着きそうなので、それに何しろ先方は金持だからそんな家で育てられるのは
仕合
(
しあわ
)
せに違いないと考えて、早速話がきまったらしかったのである。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
都合の
好
(
い
)
い仮面を人が貸してくれたのを、かえって
仕合
(
しあわ
)
せとして喜びました。それでも時々は気が済まなかったのでしょう、発作的に
焦燥
(
はしゃ
)
ぎ
廻
(
まわ
)
って彼らを驚かした事もあります。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
所謂
(
いわゆる
)
文明
駸々乎
(
しんしんこ
)
として進歩するの世の中になったこそ実に
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
い
仕合
(
しあわ
)
せで、実に不思議な事で、
云
(
い
)
わば私の大願も成就したようなものだから、
最早
(
もは
)
や一点の不平は云われない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
お松とは
姉妹
(
きょうだい
)
のように思うていると言うたが、姉にすれば申し分のない姉、あんな姉があらばお松は
仕合
(
しあわ
)
せである、お松のためにはこのままにして、あの太夫に任せておく方がけっく幸福か知らん。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それはさて置き、恒川警部の努力によって、畑柳倭文子と茂少年を、無事取戻すことが出来たのは、何よりの
仕合
(
しあわ
)
せであった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
去年の冬お前に会った時、ことによるともう
三月
(
みつき
)
か
四月
(
よつき
)
ぐらいなものだろうと思っていたのさ。それがどういう
仕合
(
しあわ
)
せか、今日までこうしている。
起居
(
たちい
)
に不自由なくこうしている。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
道具屋の店先で、二三日の間、非常に苦しい思いをしましたが、でも、競売が始まると、
仕合
(
しあわ
)
せなことには、私の椅子は
早速
(
さっそく
)
買手がつきました。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私は
妻
(
さい
)
を残して行きます。私がいなくなっても妻に衣食住の心配がないのは
仕合
(
しあわ
)
せです。私は妻に残酷な
驚怖
(
きょうふ
)
を与える事を好みません。私は妻に血の色を見せないで死ぬつもりです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仕合
(
しあわ
)
せにも、誰も気がついたものはない様です。私はやっと安心して、その代りに、
俄
(
にわか
)
に気がかりになり出した河野の身の上を、又しても案じ
煩
(
わずら
)
うのでありました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「奥さんもよかったですね。北村さんのようなうしろ
楯
(
だて
)
ができて、かえってお
仕合
(
しあわ
)
せでしょう」
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼等の一家にはこれという出来事もなく、夫婦の間柄も至極円満に、
仕合
(
しあわ
)
せな月日が続いた。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
また彼は、今日一張羅の洋服を着て出たことを
仕合
(
しあわ
)
せに思った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“仕合”の意味
《名詞》
仕合(しあい)
試合に同じ。
(出典:Wiktionary)
仕
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“仕合”で始まる語句
仕合者
仕合場
仕合好
仕合故
仕合谷
仕合せな夢