“焦燥”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しょうそう41.1%
あせ19.6%
せうさう7.5%
いらだ6.5%
いら2.8%
いら/\2.8%
じれ2.8%
もどか2.8%
やきもき2.8%
アセ1.9%
あせり0.9%
いらいら0.9%
いらち0.9%
0.9%
じら0.9%
じりじり0.9%
じれっ0.9%
せうそう0.9%
はしゃ0.9%
もどかし0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この不自由ふじゆうな、みにくい、矛盾むじゅん焦燥しょうそう欠乏けつぼう腹立はらだたしさの、現実げんじつ生活せいかつから、解放かいほうされるは、そのときであるようながしたのです。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私はそうした神秘的な……息苦しい気持を押え付けよう押え付けようと焦燥あせりつつ、なおも、解放治療場内の光景に眼を注いだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
好い男の顏が、苦惱と焦燥せうさうにさいなまれて、濃い影を作つて居りますが、態度はさすがに客馴れた調子で、少しも惡びれません。
と軍医大佐はしきりに首肯うなずいていたが、その顔面筋肉には何ともいえない焦燥いらだたしい憤懣の色が動揺するのを私は見逃さなかった。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを知らない師直は、かれもおなじくこの謎を判じかねているものと見たらしく、やや焦燥いらだって来たようにその口髭をむしりながら催促した。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
畜生ちきしやう!』とお大は無上に胸が焦燥いら/\して、『莫迦にしてら』と突拍子な聲を出しながら、スタ/\歩出す。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「鍋、鍋、鍋」たてつけて呼んでも返答をしない。焦燥じれきッていると、気の抜けたころに、間の抜けた声で
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
信一郎は、もう四十分の後には、愛妻の許に行けるかと思ふと、汽車中で感じた焦燥もどかしさや、いらだたしさは、後なく晴れてしまつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「もうあなたここまでぎつけたんですもの。そう焦燥やきもきしないでいた方がよござんすよ。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
行者はニタニタと笑ひつつ面白さうに俺のパクパクを眺めながら焦燥アセらず周章てず尚も幾杯かを傾けてしばらく沈黙の後(ああ! 悲劇の前奏曲よ!)静かに鼻の頭をこすつて
ただ焦燥あせりに焦燥ってばかりいる今の自分が、恨めしくもありまた気の毒でもあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夜更けて馴染みの女から俥に送られて帰って来た良人おっとと、しばらくぶりでそうして話しているお増の心には、以前自分のところへ通って来る浅井を待ち受けた時などの、焦燥いらいらしさがあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
身体みうちの痛みもせしかど、前足いまだえずして、歩行もいと苦しければ、心しきりに焦燥いらちつつ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
私のようにどこか突き抜けたくっても突き抜ける訳にも行かず、何かつかみたくっても薬缶頭やかんあたまを掴むようにつるつるして焦燥れったくなったりする人が多分あるだろうと思うのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それをけば意味ありげににやにや笑って見せるだけであった。お延は彼がとくにこうして自分を焦燥じらしているのではなかろうかという気さえ起した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だが、如何いかな彼女らも、後から後からと送られて来る生産力のそれには、絶えず追っ立てられ、焦燥じりじりさせられ、慄えさせられ、しまいにはへとへとにされてしまう。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
彼女は焦燥じれったそうな眼つきをして
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
血性けつせい大雅に過ぐるもの、何ぞ進歩の遅々たるに焦燥せうそうの念無きを得可けんや。唯、返へす返すも学ぶべきは、聖胎長養せいたいちやうやうの機を誤らざりし九霞山樵の工夫くふうなるべし。(二月七日)
都合のい仮面を人が貸してくれたのを、かえって仕合しあわせとして喜びました。それでも時々は気が済まなかったのでしょう、発作的に焦燥はしゃまわって彼らを驚かした事もあります。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ワンワン、ガヤガヤと、焦燥もどかしそうな群衆の声が聞える。わしは、速力スピードをグッと速めた。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)