“のぼ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ノボ
語句割合
50.2%
逆上11.1%
9.0%
8.1%
上気4.2%
4.2%
3.8%
2.2%
1.8%
上洛1.2%
0.9%
0.9%
0.3%
上氣0.3%
0.3%
立上0.3%
0.2%
登山0.1%
上乘0.1%
上騰0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
昂奮0.1%
昇格0.1%
0.1%
0.1%
襄上0.1%
頭上0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一番ののぼり列車の着くまでの渡し舟は、向こう地からくる野菜を背負った女の人が多い。自転車、リヤカーなどもうまく舟に乗せる。
江戸前の釣り (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
つまりは感情のゆき違いと云ったようなわけで、らでも逆上のぼせている清吉はいよ/\赫となりました。そうなると男は気が早い。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いま廿日はつかつきおもかげかすんで、さしのぼには木立こだちおぼろおぼろとくらく、たりや孤徽殿こきでん細殿口ほそどのぐちさとしためにはくものもなきときぞかし。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あのとりは、おれのものだ。わあわあいっちゃいけない。」といって、かれは、すぐとりのとまっているかきののぼりはじめました。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さらに下のほうでは、ぱらったキャベツが、驢馬ろばの耳を打ち振り、上気のぼせたねぎが、互いに鉢合せをして、種でふくらんだ丸い実を砕く。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
へさきの斜の行手に浪から立ちのぼって、ホースの雨のように、飛魚の群が虹のような色彩にひらめいて、繰り返し繰り返し海へ注ぎ落ちる。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
伊「法印さまなぞを呼んじゃア厭だよ、枕元でガチャ/\お加持をするので、尚おのぼせ上って痛くっていけねえから止してくんな」
幾度ものぼりつけた浅い明るい川上の彼方まで、今まではおのづと楽な道が通じてゐた。飛び越し難い石から岩へは彼が渡した板切れの橋がかけてあつた。
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
残燈もろくも消えて徳川氏の幕政空しく三百年の業をのこし、天皇親政の曙光漸くのぼりて、大勢にはかに一変し、事々物々其相を改めざるはなし。
……と云うのはここにいる人数こそ、六十人にも不足だが、なお後から続々と、大勢の者が上洛のぼるのだ、のみならず土右衛門つちえもん槌之介つちのすけも、衆をひきいて上洛るのだ。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「この乱暮さを御覧なさい、座る所もないのよ。」と主人あるじの少女はみしみしと音のする、急な階段を先にたっのぼって
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
鰍の群れはこの冷たい水を喜んで、底石にまとわりながら上流へのぼってゆく。そのころ瀬をあさる鰍押しの網に入ったものが、一番上等といえるのである。
姫柚子の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
常の如くおのを携へて山奥に入り、柴立しばだちを踏分け渓水たにみずを越え、二里ばかりものぼりしが、寥廓りょうかくたる平地に出でたり。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
武家風の匂ひもない、色白のつゝましやかな娘、平次の影が射すと、僅かに擧げた顏が、涙に蒸されて上氣のぼせて居るのさへ、言ひやうもなく物哀れです。
わしは、ウンと、腰骨に力を入れると、トントンと、手拍子と足拍子と合わせて、梯子をスルスルとのぼっていった。見る見る政とわしとの距離は、短縮されて行った。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夫れからモウ一歩立上のぼるとウエーランドと和蘭オランダの原書の字引が一部ある。それは六冊物で和蘭の註が入れてある。ヅーフでわからなければウエーランドを見る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
主人の子供の節句に飾る、のぼり絵を頼みに来たのである。
北斎と幽霊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
煤煙すすけを落すだけの場所だったが——それがこのごろ、遙か下の町の人々にも知れて来たとみえて、ぽつぽつ入湯の客が登山のぼって来る。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「佐助に利七のふたりも、生きておりますれば、今ごろ登山のぼっておるさいちゅうでござろう。七月七日の夜の引き明け、という申しあわせですから——どれ、そろそろ私も。」
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あの上乘のぼせると、雨だらうが風だらうが、閉めきつてなんか置けない性分でした。風下の雨戸を一枚開けて、枕を出して横になつてゐたんでせう」
其の鈍色にぶいろを破ツて、處々に煤煙はいえん上騰のぼツてゐる。眞直まつすぐ衝騰つきのぼる勢が、何か壓力に支へられて、横にもなびかず、ムツクラ/\、恰で沸騰ふつとうでもするやうに、濃黒まつくろになツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
のぼる梯子のとん/\びやうし、鰻はもとよりどぜう鍋の、重/\かさね/″\のお誂へに、湯よりもあつき御ひゐきの、御客様のお進めうけ、懇意の中に天家寿が、元居た跡へ引移り、すこし手広にしやもかしは
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
其小なるや、一身の哀歡を歌ふに過ぎざれども、其大なるや、作者乾坤けんこんみて、能く天命をときあかし、一世の豫言者たることを得べし。其さまなほ雲にのぼ高嶽かうがくのごとく、いよ/\高うして彌いちじるし。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
(あれも七十にもなって、まだ下位げいに留まっていたのか。さてさて気の毒した。三にでものぼせてやれ)
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人心観想の黙移実に驚くべきかな。近体新声の耳目にならはざるを以て、倉皇視聴をおほはむとする人々よ、詩天の星の宿はのぼりぬ、心せよ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
皆声を限りにお客を呼んで、素通りをしても昂奮のぼせ上る位であった。これが今では、「入らっしゃい」とも「如何様」とも何とも云わないから、何だか浅草らしくないような気がする。
「夏の陣には、おれ日記方にっきがた(目録取り)に昇格のぼってみせる」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞ左右さいう斷崕だんがい其間そのあひだ迂回うねながるゝ溪水たにがはばかりである。辿たどつておくおくへとのぼるにれて、此處彼處こゝかしこ舊遊きういうよどみ小蔭こかげにはボズさんの菅笠すげがさえるやうである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
(前略)……彼の歓喜限り無くさながら蚊竜時に会うて天に向かつてのぼるが如く多年羨み望みたる所の家財調度を買求め、家の隣の空地を贖ひ、多くの工匠を召し集めて、数奇を凝らせる館を築けば
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それさへあるに、土気の襄上のぼ臭気にほひぷんと鼻をいて、堪へ難い思をさせるのであつた。次第に葬られて、小山の形の土饅頭が其処に出来上るまで、丑松は考深く眺め入つた。叔父も無言であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
弱い酒を、一時に、頭上のぼった酔に、何をいうやら。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)