登山のぼ)” の例文
煤煙すすけを落すだけの場所だったが——それがこのごろ、遙か下の町の人々にも知れて来たとみえて、ぽつぽつ入湯の客が登山のぼって来る。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「佐助に利七のふたりも、生きておりますれば、今ごろ登山のぼっておるさいちゅうでござろう。七月七日の夜の引き明け、という申しあわせですから——どれ、そろそろ私も。」
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
つづら笠は、お山へかかっての三人の眼じるしにと、これも申し合わせのひとつで、はははははは——少し行ったら、着ものを畳んで、裸体はだか登山のぼります。鍛練たんれんの機会ですから。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)