立上のぼ)” の例文
黄金色こがねいろに藻の花の咲く入江いりえを出ると、広々とした沼のおも、絶えて久しい赤禿あかはげの駒が岳が忽眼前におどり出た。東の肩からあるか無いかのけぶり立上のぼって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
夫れからモウ一歩立上のぼるとウエーランドと和蘭オランダの原書の字引が一部ある。それは六冊物で和蘭の註が入れてある。ヅーフでわからなければウエーランドを見る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
東の肩からあるか無いかの煙が立上のぼつて居る。余が明治三十六年の夏來た頃は、汽車はまだ森までしかかゝつて居なかつた。大沼公園にも粗末な料理屋が二三軒水際みぎはに立つて居た。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)