上氣のぼ)” の例文
新字:上気
眞夜中のことで、少し寢亂れてはをりますが、少しばかりの興奮に上氣のぼせて、年増女の仇つぽさは容易ならぬものがあります。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
武家風の匂ひもない、色白のつゝましやかな娘、平次の影が射すと、僅かに擧げた顏が、涙に蒸されて上氣のぼせて居るのさへ、言ひやうもなく物哀れです。
滿面を涙に洗はれて、顏は美しく上氣のぼせて居りますが、うるんだ眼は精一杯に見開かれて、したゝかな中年男の寅松に、言葉では言ひ解くことの出來ない自分の無實を許へるのです。