のぼ)” の例文
世高はその索に手をやってちょっと引きこころみてからのぼって往った。世高の体はやがて牆の上になったがすぐ見えなくなった。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
わしは、ウンと、腰骨に力を入れると、トントンと、手拍子と足拍子と合わせて、梯子をスルスルとのぼっていった。見る見る政とわしとの距離は、短縮されて行った。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ヂュリ ま、どうして此處こゝへ? して、まアなんために? あの石垣いしがきたかいゆゑ容易たやすうはのぼられぬに、それにおまへ身分みぶんは、うちもの見附みつくれば、たちまちおいのちからうずに。