“あな”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アナ
語句割合
33.5%
32.3%
12.1%
4.2%
事件2.2%
2.0%
1.8%
1.8%
1.4%
1.2%
1.2%
0.6%
0.6%
孔竅0.4%
洞穴0.4%
空隙0.4%
0.4%
隠家0.4%
阿那0.2%
巣窟0.2%
啊呀0.2%
土窖0.2%
坑道0.2%
容器0.2%
洞窟0.2%
百穴0.2%
空場0.2%
空洞0.2%
0.2%
0.2%
貴方0.2%
0.2%
陥穽0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三度三度の食事だけは、妙なあなからチャンと差入れられた。それは子供が食べるほどの少量だったので、彼はいつもガツガツ喰った。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こうしているうちに、とうとう、仕立屋したてやさんのかんしゃくだまが爆発ばくはつしました。仕立屋さんは仕立台したてだいあなからぬのきれをつかみだして
鉱山のあなの闇が不思議の赫きになつて、歎息の声が哄笑の声になる。丸で種類の変つた人間が丸で性質の変つた冒険をするのが面白い。
防火栓 (新字旧仮名) / ゲオルヒ・ヒルシュフェルド(著)
「いや熊鷹くまたかじゃろう。あれは意地むさいでな。だがなあ喜惣、この片身はどうあっても、お前にはやれんぞ。あれは、第一わしあななんじゃ」
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ひょっとすると、なにかこの事件あなにひっかかりがあるかもしれねえなとにらみがついたから、ちょっと右門流の細工をしたまでさ
柳の色の厚織物の細長に下へ萌葱もえぎかと思われる小袿こうちぎを着て、薄物の簡単なをつけて卑下した姿も感じがよくてあなずらわしくは少しも見えなかった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
あなは、仏体の胎内たいないにでもかたどってあるのか、口はせまく、行くほどに広くなり、四壁には、諸仏、菩薩ぼさつ、十二神将などの像が、りつけられてある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今彼の読んでいるのは、フランツ・カフカという男の「あな」という小説である。小説とはいったが、しかし、何という奇妙な小説であろう。
狼疾記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
拙者せつしやふるくから此石とは馴染なじみなので、この石の事なら詳細くはししつて居るのじや、そもそも此石には九十二のあながある、其中のおほきあなの中にはいつゝ堂宇だうゝがある
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
腹立ちと失望の凄じさは、もう一度壁の隅の新しきあなを掘らずにはいられない。今度は手を掛けるとすぐに、あの大きな二匹が洞外へ這い出した。
兎と猫 (新字新仮名) / 魯迅(著)
………他の獣のあなへ這い込む、蟻塚をやたらに荒らす、蝸牛かたつむりを殻ごと噛みくだく。……鼠に出逢えば組打ちをはじめる。蛇や仔鼠を見れば絞め殺さずにはいられない。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
昏倒こんとうした蘇武に対する胡毉こいの手当てというのがすこぶる変わっていた。地を掘ってあなをつくり熅火うんかを入れて、その上に傷者を寝かせその背中をんで血を出させたと漢書かんじょにはしるされている。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
けれどもそれはあながちに、自分達じぶんたちうへついて、とく御米およね注意ちゆういためくちにした、故意こい觀察くわんさつでないのだから、あらたまつてたゞされると、こまるよりほかはなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
言はれて雲飛うんぴ仔細しさい孔中こうちゆうると果して小さな堂宇だうゝがあつて、粟粒あはつぶほどの大さで、一寸ちよつとくらゐではけつしてつかぬほどのものである、又た孔竅あなかず計算けいさんするとこれ亦た九十二ある。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この時、銀杏の根もとの辺から、パッと白光が閃めいたが、法蔵寺鈍二兵衛を先に立てて小女郎もお夏も洞穴あなから出た。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
れて、放下ほけたる空隙あなより踐外ふみはづして、ひしおほかみ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
称す是れ盗魁とうかい 匹として蜃気楼しんきろう堂を吐くが如し 百年の艸木そうぼく腥丘せいきゆうを余す 数里の山河劫灰こうかいに付す 敗卒庭にあつまる真に幻矣 精兵あなを潜る亦奇なる哉 誰か知らん一滴黄金水 翻つて全州に向つて毒を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
いうまでもなく、この足で忍び込むつもりだが、お前は、このまま引ッ返して、隠家あなで、首尾を待っていなよ。つまらねえ思いつきで、小さい仕事に手を出して、ドジを
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
黄金丸はやや暁得さとりて、「さてはわが亡親なきおや魂魄たま、仮に此処ここに現はれて、わが危急を救ひ給ふか。阿那あな感謝かたじけなし」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
彼方あなたの山をきっにらめつ、「さては今宵彼の洞にて、金眸はじめ配下の獣酒宴さかもりなしてたわぶれゐるとや。時節到来今宵こそ。宿願成就する時なれ。阿那あな喜ばしやうれしや」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
あの森の中にはジプシイが住んでをつて、妖女ウェーヂマが火掻棒に跨がつて空を翔けまはるやうな晩に限つて、巣窟あなから出てきて、鉄をつのぢや。
古馴染の愛馬に対する憐愍の情に堪へなかつたのぢや!『どんな馬でも一頭、手前たちの巣窟あなから選り出してくれえ!』
これにめくるめいたものであろう、啊呀あないまわし、よみじの(ことづけ)をめたる獅子を、と見る内に、幼児おさなごは見えなくなった。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小学校の運動会で、父兄が招かれる。村の恵比寿えびすこう、白米五合銭十五銭の持寄りで、夜徹よっぴての食ったり飲んだり話したりがある。日もいよ/\短くなる。甘藷や里芋も掘って、土窖あなしまわねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
地中の薄汚ない坑道あなの中で、地層だけを見詰めて歳月を送っては、人間の生活だかもぐらもちの生活だか判らないという惨めさに、もう我慢出来なくなったり、またいつ先方から襲撃されるか
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
食べ終ると、船頭は容器あなの中に指をつっこんでなでまわし、その指についた汁をなめた。
えぞおばけ列伝 (新字新仮名) / 作者不詳(著)
「どうだ、ステツィコ、てつきりあれは、洞窟あな魔法使コルドゥーンのところへ忍んで行くやうだなあ?」
鴻巣こうのすにいたりて汽車を棄て、人力車くるまを走らせて西吉見の百穴あなに人間のむかしをしのび、また引返して汽車に乗り、日なお高きに東京へ着き、我家のほとりに帰りつけば
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
(構いやしない。)と仰有おっしゃるし、そこはね、大したお目触りのものではなし……あの通りの大入で、ちょっと退けようッて空場あなも見つからないものですから、それなりでお邪魔を願ッておきました。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ステッキの空洞あなの中へ、宝石類を入れながら
探偵戯曲 仮面の男 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
廣大無邊の旋渦おほうづの爲、朦朧として絶えず輪轉する波の上、あなを脱け飛んだ眼球や燐の光を放つの殼が浚はれて浮きつ、沈みつもがいてゐる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
そんな事は貴方あなた男だから女だからのって事はありゃあしません。
千世子(三) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あたまがち、ぬるあなうら。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そこはある半羊神が百万の富者になり卑しいチュルカレーがプリアプ神になったという話しにふさわしい、淫猥いんわい陥穽あなだった。