鳥打帽子とりうちぼうし)” の例文
見たところ三十歳くらいの英国人、服は褐色の弁慶縞、半ズボンをはき、鳥打帽子とりうちぼうしをかぶり、顔を上手に染め、赤い髯を鼻の下につけていた。
顔に、ひげがぼうぼうとはえ、黒い鳥打帽子とりうちぼうしがぬげていてむき出しになっている頭髪とうはつは、白毛しらがぞめがしてあって、一見いっけん黒いが、その根本のところはまっ白な白毛であった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
蝋燭ろうそくらしい赤茶けた光に、チロチロと照らされている正面の襖と、その表面一杯に映っている、巨人の様な人間の、鳥打帽子とりうちぼうしらしいものをかぶって、眼鏡をかけている横顔であった。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一男の鳥打帽子とりうちぼうしがさっと風にきあげられて、いがぐり頭が剥出むきだしになった時には、熱心な見物人たちは我しらずうめいた。帽子は鉄骨にぶつかりぶつかり長くかかって落ちて行った。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
やぶれた鳥打帽子とりうちぼうししたからえるかみは、もう灰色はいいろになっていました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)