やまべ)” の例文
さけますやまべなぞは持ちきれぬ程釣れて、草原にうっちゃって来ることもあり、銃を知らぬ山鳥はうてば落ちうてば落ちして、うまいものゝためしにもなる山鳥の塩焼にもいて了まった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
外はかば篝火かがり真昼まひるの様に明るい。余等の天幕の前では、地上にかん/\炭火すみびおこして、ブツ/\切りにした山鳥や、尾頭おかしらつきのやまべ醤油したじひたしジュウ/\あぶっては持て、炙っては持て来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
また一人川下かわしもの方から釣棹つりざお肩に帰って来た。やまべ釣りに往ったのだ。やがてまた一人銃を負うて帰った。人夫が立迎えて、「何だ、たった一羽か」と云う。此も山鳥。先刻さっき聞いた銃声じゅうせいはてなのであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)