高藪たかやぶ)” の例文
こう聞かれるたびに健三は、彼の記憶のうちに見える赤い門——高藪たかやぶおおわれた小さな赤い門のうちを挙げて答えなければならなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ごらんなさい。あの高藪たかやぶの上に、ふらふらと、人魂ひとだまのような赤い挑灯ちょうちんがしきりに暗号を振っているでしょうが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両側の高藪たかやぶは人をおどすように不意にざわざわと鳴って、どこかで狐の呼ぶ声もきこえた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
赤い門の家は狭い往来から細い小路こうじを二十間も折れ曲って這入はいった突き当りにあった。その奥は一面の高藪たかやぶおおわれていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)