驚倒きょうとう)” の例文
戸狩全村をあげて、彼らが、冬から必死になって製作しているのは、三河との競技に、敵を驚倒きょうとうさすべく、寝食を忘れて作っているものだった。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後になって予を発病に近いまでに驚倒きょうとうせしめるものがあろうとは、今日の今日まで考えたことがなかった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ぼくの物心ついた頃、親爺は貧乏官吏から一先ず息をつけていたのですが、肺病になり、一家を挙げて鎌倉に移りました。父はその昔、一世を驚倒きょうとうせしめた、歴史家です。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
驚倒きょうとうす暗中銃丸跳るを、野田城上笛声てきせい寒し、誰か知らん七十二の疑塚ぎちょうかず一棺湖底の安きに
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「神品です。なるほどこれでは煙客えんかく先生が、驚倒きょうとうされたのも不思議はありません」
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なお、その叔父をして、もっと大きな歓びに驚倒きょうとうさせてやろうという意図にすら燃えていたのである。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その半兵衛がまた、つい最近、美濃一国を驚倒きょうとうさせたはなしがある。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)