馬鹿囃ばかばやし)” の例文
此間はとうとう降参して、もううためる、其代り何か楽器を習はうと云ひした所が、馬鹿囃ばかばやしを御習ひなさらないかとすゝめたものがつてね。大笑おほわらひさ
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
町に響く太鼓、かつがれて通る俵天王たるてんわう、屋臺の上の馬鹿囃ばかばやし、野蠻な感じのする舞——すべて、子供の世界の方へ私の心を連れて行くやうな物ばかりでした……
このほか東京近在の馬鹿囃ばかばやしと俗に称する一種の遊芸も、やはりお神楽と云っているが、これは京都の念仏狂言類似のもので、もとはやはり同じような起原を有するものであろう。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
張子のとらや起きあがり法師を売っていたり、おこしやぶっ切りあめひさいでいたりした。蠑螺さざえはまぐりなども目についた。山門の上には馬鹿囃ばかばやしの音が聞えて、境内にも雑多の店が居並んでいた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小「わしのは馬鹿囃ばかばやしの笛とは違うのでな」
「面白いかたでせう。馬鹿囃ばかばやしを稽古なさるんですつて」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)