首領しゆりやう)” の例文
其子そのこの身に宿りしより常に殺気さつきべる夢のみ多く、或時は深山しんざんに迷ひ込みて数千すせんおほかみに囲まれ、一生懸命の勇をならして、その首領しゆりやうなる老狼らうらう引倒ひきたふし、上顎うはあご下顎したあごに手をかけて
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
瀬田が進み出て、「我々はどこまでもお供をしますが、御趣意ごしゆいはなるべく一同に伝へることにしませう」と云つた。そして所々しよ/\に固まつてゐる身方みかたの残兵に首領しゆりやうの詞を伝達した。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
堀は訴状を披見ひけんした。胸ををどらせながら最初から読んで行くと、はたしてきのふ跡部あとべに聞いた、あの事である。陰謀いんぼう首領しゆりやう、その与党よたうなどの事は、前に聞いた所と格別の相違は無い。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)