風呂番ふろばん)” の例文
時候じこうと、ときと、光線くわうせんの、微妙びめう配合はいがふによつて、しかも、品行ひんかう方正はうせいなるものにのみあらはるゝ幻影まぼろしだと、宿やど風呂番ふろばんの(しんさん)がつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
亀背で小男の愚楽老人ぐらくろうじん、この上様うえさまのお風呂番ふろばんは、あかすり旗下はたもとと呼ばれて、たいへんな学者で、かつ人格者だった。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
オペラ館の楽屋口に久しく風呂番ふろばんをしていた爺さんがいた。三月九日の夜に死んだか、無事であったか、その後興行町の話が出ても、誰一人この風呂番の事を口にするものがない。
草紅葉 (新字新仮名) / 永井荷風(著)